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２７話 ページ29
しまった。一つ忘れ物をしたな、と頭を抱えるA。Aという人格しか分からないことを伝えそびれたが、どうせ同じ体。いつかは思い出すだろうと、再び焚き火の前に座り込む。これからはレイナの人格がそうしていたように、この人格も暗闇の中に取り残されるが、いつかは消えるかと楽観的でもあった。
レイナが本物のAを殺したとき、ようやく完全に受け入れるだろうと思っているから。彼女にできるのは、この人格が頼られる日が永遠に訪れることのないよう祈るのみ。どうかその祈りが、天に届きますように。
「......案外、こういう過酷な旅をしている奴ほど。病の治りってのは早いもんかもしれないな。」
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
