１９話 ページ21
故郷近くのとある支部より、そう報告が入り、すぐに反応したのはスレットだった。一瞬小難しそうな顔をしたのに気付いたのは、アンデルセンぐらいなものだろう。その様子を見てケラケラと笑ったかと思えば、すぐ冷静になって荷物まとめを始める。最初からついてくる気だったのかと考えると、彼もなかなか行動力があるものだと呆れることだろう。
レイナも急ぎ、船で待機しているロジャーの元へ向かおうとすれば、ランが渡したいものがありますと、あるものを渡してくる。それに見覚えがあった。紛れもなく、あの日ルフィに渡した永久指針だ。
「なんでそれが......」
「ルフィ様より言伝です。自分達は共に行けないが、我らの行く道がどうか良き旅路であることを願って、と。実際に後半は仰っていませんが、まあ近い感じで言ってたので。言伝と共に指針と、ウソップ様とフランキー様の共同製作となるとものを渡されまして。後者のものは戦闘時に自動で起動するとのことなので。」
「自動で......？」
レイナも後に聞いたことだが、ルフィたちはあの浮島で、スレットとヴィアの二名にレイナを助けてほしいと頼まれたらしく。できればAも止めたいと考えていたようだ。その約束も果たせないまま別れることになったので、せめてもの助力として、夜行型ではない者も夜遅くまで起き、製作に必要な素材運びなどを手伝ったらしい。
製作はあくまで二名だが、陰では彼らの活躍もある。つまり自動起動のものは、麦わらの一味の共同製作と言ってもいいだろう。レイナはそれを見る前にランに預けたため、詳細については詳しくないものの、外見は宝石のように美しいものと聞いているようだ。
「(......技術力があっても、そのような美しい外見にしようなど、誰も思い付かないだろう。絶対にラン辺りも関わってるな。うん、間違いない。)」
島についたら渡す。そういうことで話が終わり、彼らはすぐに支度を始めた。
目指すは彼らの故郷、名も無き島へ。歴史は潰え、かつてそこで暮らした者の屍すらなく。近い未来、新しく生まれ変わる場所へ。レイナは永久指針を頼りに、かつての恩人と話し合うために足を進めた。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
