１話/共闘戦線 ページ3
『どうかそのままで。今部屋にいるのは僕だけで、追跡もしていません。カンヌ中将があなたと連絡を取る際に利用した電伝虫を使って、こうして連絡を取れているんです。......どうか、助けてください。』
「......海軍が海賊に助けを求めるなんてな。話を聞く前に、私たちとお前たちの利害が一致してるのは当然の話だな。カンヌの件だろ。」
短い沈黙。彼はそうですと、肯定する。これが起きたのは宴の最中のことだ。当然周囲には生者が、死人がいることだろう。どうして海軍が連絡してきたのか分からないが、ひとまず会話はレイナに任せればいいか、何かあれば自分が、と一人を除いた皆が満場一致で考えた。
そう、一人だけ。一人だけはその通信機を取り上げ、嬉しそうにコビーの名を呼んだ。
「コビー！久しぶりだなぁ！」
「ゾロ、サンジ、お前の船長殺していいか？これが罠だったらどうするんだよ。なぁ。なぁ。」
『ルフィさん......！お久しぶりです！あっ、喜んでる場合じゃありませんでしたね。残念ながら、今は一刻を争う状態です。この際レイナさんが誰と組んでいても構いません。上との話し合い次第にはなりますが、僕はあなたの罪を今だけ見逃します。』
「......どうしてレイナの名前を。」
微笑ましい時間も束の間。彼がレイナの名前を呼んだとき、その場の空気が途端に凍りつくのが分かる。コビーはカンヌとの会話を盗み聞きしたと言ったが、それも真実かは分からない。カンヌは常にこう言っていた。
孫と話すのに邪魔者は不要だろう、と。
ここで一つの可能性が思い浮かぶ。割り込んでくる輩はいないよ、という意だとしたら＿＿＿＿＿＿推測だけでも話を進めていくしかないと思ったのか、レイナはコビーの話をとりあえず聞いてみることにした。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
