王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ18)

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１６話/私の血ページ18

「これ、食べれますか？」
「......私が頼んだ、悪魔の実か。申し訳ないが、口まで運んでくれるか？」
「ちょっと待ってくださいね......はい、口を開けて。」

海上にて。革命軍の船のとある一室で、Aは切り分けられた悪魔の実を一口だけ食べる。そのあまりの不味さに思わずしかめっ面をしてしまう。直後に己の体に何かが広がっていくのを感じ取り、自分が食べた実の能力も要望通りだと分かったのか、早速その能力を使用するため、包帯を全て取ってもらう。次に念じるように、自分の血は手足も同然だと意識するように。
その手足を、動かすように。

「......これ、は。再生すればするほど血が足りなくなる。輸血パックも用意してくれ、話はその後だ。」

輸血してもらいながら、その血で失った手足を徐々に再生させていく。赤い手と足、見ていると吐き気が催してくるのか、Aも思わず目を背けてしまう。手袋も必需品になるかとため息をつきながらも、ひとまず自由を手にしたAはベッドから起き上がり、甲板に顔を出す。
自分の足で、太陽の下を歩ける喜び。自分の手で、誰かと握手をしたり、食事もできる喜び。その喜びを味わう前にと、改めて自分の目的を整理する。
まずは復讐を果たすことだ。Aの過去の復讐はスレット、ヴィア、カンヌの三人を殺すことで果たされる。次にこの体を我が物とすること。そのためには必ず邪魔してくるレイナを殺す。だが殺そうとすれば、他の者が邪魔してくるだろう。故にリリーを殺すことで、死者の体ごとレイナを殺すという目的に切り替えることになった。
その思考に勘づいたのか、サボはやっぱりAさんではないんですね、と声をかけてくる。

「......あなたは、いったい。」
「私はAだ。お前たちが今まで関わったのはAという自我を持つレイナだ。安心しろ、お前たちに危害を加えるつもりは一切ない。何かを貸せと言うつもりもないさ。少ししたら、この船から空へ旅立つことにするよ。六式様々だ。」
「あなたがそう言っても、俺たちの前に立ちはだかるのなら容赦はしませんよ。」

強気なその姿勢に、思わず笑いながらも分かったと言う。旅立つ前に食事と飲み物を少々いただき、しばらくはつかの間の平穏を味わうことにしたA。あの時支配されていた精神は、海賊のように自由に、普通の子供のように穏やかなものへと変化した。