１５話 ページ17
やがて、孫は抵抗の意思を捨てた。ご飯を食べさせるときも自分から口を開けてくれる、風呂の時も暴れなくなる。器用なことに自分の電伝虫で連絡もしていたけど、それもしなくなった。まぁ、わざと孫に届く場所に配置はしていたのだが。向こうから人間が来れば、私は無駄に動かず殺せるし、殺す前にアレが彼らを餌として認識する。
正味楽だ。おかげでこの子と、平穏に暮らせたんだ。リリーがじきに来る時のために、全てを殺してくれる。いつもより笑ってるね、と言われるぐらいには嬉しいものだ。
......今まで顔も見たことのない孫の成長は、声でしか感じ取れなかった。今はどうだ？地盤の手で精神を支配し、退化させるも成長させるも自由。支配術を学ぶのにちょうどいい手駒が手に入って、本当によかった。一石二鳥というやつだ。だからもう、
これはいらない。
「リリー、この子はもう寝たぞ。お食べ。」
「嬉しい！嬉しい！いただきます！」
「......でも、本当に吸収してはいけない。お前の腹の中で生きてもらうだけだ。分かったな？」
「はーい！」
この島に根付いた、リリー・カーネーションの器官から、黒い糸のようなものが出てくる。それはAだけを餌として認識しており、それを吸収しようと彼女の体に触れようとした。私はそれを遠くから見る。
だが、糸がAに絡み付こうとした瞬間だった。太陽のように明るく、辺り一帯が灼熱地獄と化すほどの炎が、その場を横切る。肩にいるリリーも暑い、燃えちゃうと泣き出すほどの炎だ。いったい何が起きたのかともう一度目をやれば、すぐそこで倒れていたはずのAの姿は消えていた。
......燃えて灰となったか、あるいは。わざと連絡を取らせ、馬鹿正直に助けに来た革命軍参謀か。
「部下の死を無駄にはできないというやつか......お前が助けた女は、復讐に燃える厄介な女だというのに。」
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
