王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ15)

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１３話/役者ページ15

「もっと食べたい！お腹空いた！」
「......今度は少年の声。」

やはり、本来あの地に生息していたリリーより、腹は空いたのか。それとも人間らしい能力が欲しいのか。リリーはより多くの人間を取り込み、その度にそれらしい能力を身に付けてきた。例えば、今日に至るまでに食べた者の声に変わるとか。
......かなり地味だ。だがその人間の指一本でも食べれば、簡単にその人物を真似ることができる。声を利用すれば、餌場に誘うことだって可能になる。試しにAの指を食べさせてみれば、リリーは彼女の声を発するようになったのだ。脳の作り(そもそも花に脳はあるのか？)が違うのか、言葉は覚えてくれなかったが、物分かりのいい孫と話しているようでいい気分になる。
そんなリリーを連れて、今日もローブで身を包み隠して買い物だ。一人では何も食べれないAのために、食べやすいスープの材料と、それから自分が好むものを大量に買い揃える。ほんの一時の家族らしい時間は必要だろう。
だが、帰っても歓迎する者はいない。

「ダメじゃないか、A。暴れたらベッドから落ちるのは分かりきっていることなのに。そろそろご飯にしないか？」
「明日には消えてやるからな。」
「......達磨のお前が？どうやって？この小屋で暮らすのも悪くないだろ。今後、お前をいじめる人間は全員私が殺してやる。生活に必要なものも私が揃える。この生活のどこに不満を感じてるんだ？」

孫は相変わらず反抗期だ。自分で歩けないのに、物も掴めないのに、このザマだ。隙あらば噛み殺そうとする孫の姿は■■■■■■■■■。
............最近、自分の本音がどうも曖昧だ。何を思ったのかすら思い出せない。Aにもよく気持ち悪いと言われる。お前もレイナと同じ病なのかと言われ、ようやく自覚したようなもの。

「私たちとレイナは、いくつか共通点があるようだな。今まで通り彼女と仲良くできそうで、私はとても嬉しいぞ。」
「......」
「辛くなってきたか？止血なら終えてるはずだが。」
「何も食べたくないし、飲みたくもないんだ。目にするのもストレスが募る。寝かせろ。」

私は今日も
今日も
......今日も
■■■■。

「(殺したい)」

私ではない誰かは、その欲を満たすために今日もAを殴る。