９話 ページ11
アンデルセンが綺麗な着地を決め、我先にと駆け出す。気が付けば港にはすでに、彼が求めた子がいる。大人の体であれば、酔わせることでもう少し吐かせることができたのにと残念がるものの、それはそうと子供の彼女におもいっきり飛び付く。
「は......！？」
「君がレイナか！私はアンデルセン、アンデルセン・D・コスモス！ぜひとも君を取材させてくれないか！？君の仲間が滅ぼした国の歴史、その在り方、レイナという新たな英雄候補の人生とか」
「人を人として見ない人の取材はお断りだ！！！コビー！こいつはなんだ！？」
「その方は作家のアンデルセンさんですよ。迷惑行為を繰り返すものだから、客間に閉じ込めて監視もつけたのに......え？どうやって脱走しました？」
「窓から脱走した。」
「ええ......？」
無神経な言動、行為。言うまでもないが彼はこの日この時間、レイナのブラックリスト入りを果たした。彼女が二度と関わりたくない人物、関わるとしても情報、武器などの入手のために最低限しか関わらないという最悪の待遇。この対応なのにも関わらず、どうして彼女に取材を拒絶されたのか、彼は一切理解できなかったようだ。
仮にも有名な作家であり、彼女は自分のオカルト本を所持する正当な読者。彼の考え方は、読者であれば自分のファンであるのは必然だという考えだ。一言交わすだけでも嬉しくて失神してしまうだろうという、自己肯定の塊そのもの。
お金を積んでも、オカルト本の正体を知りたくても、取材は嫌なのか。そう聞くと、彼女はスレットに任せると言って本部へ案内される。それについていくラン、アンデルセンの前に立ちはだかるのはスレット。スレットは彼の胸ぐらを掴み、ちょっと船で話そうかと、笑顔で話しかける。
「君の殺意、隠しきれてないよ。」
「こっちは自分の父親を侮辱されたんだ。事実も虚偽も同じ、人には触れられたくない過去がある。その分、アンタからは山ほど情報を引き出してやる。」
仕方ないかとため息をついたアンデルセンも、スレットと船内へと向かった。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年2月19日 3時
