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東京の夜ページ2

桃side

prrrr…
「はい、株式会社桐山、営業部の小瀧です。お電話ありがとうございます。責任者のものに電話をお繋ぎ致します。
竪山さん、例のお取引先の方からお電話頂いてます！」

『小瀧、企画書まとめといてくれないか？量そんなにないから今日中に俺のパソコンに送っといてくれ』
「え…今日中ですか？了解しました。」

一人でデスクで昼食を食べながら企画書をまとめる。
社会人1年目。東京に出てきてからも約1年。
こんなにサラリーマンが忙しいとは思っていなかった。仕事が全くできないわけではないが、大学の様にノリが良ければいい奴という風には、社会人はいかないらしい。大学生のノリが微かに残ったまま社会に入ってしまった俺は、同僚たちにそんなに好かれていない。

『どうしたの、小瀧くん？？小瀧くんは笑ってるお顔が一番素敵なのに！悩みとかあるなら、今日ご飯行かない？』

近づいてくるのは、色眼鏡で俺をみてくる女ばかり。

「いいですよ？でも、俺、この資料今日までに作成しなきゃいけなくて。」

『いいよー、そんなの付き合ってあげるから！』

どうせ、「突き合う」のが目的で飯も誘ってんねやろ？
最近ご無沙汰だし、溜まってるのも嘘じゃない。
まぁ、一時的に欲を満たすのには申し分ないクオリティの女やし、一回ぐらいなら別にええか。

P.M.9:00
あの女の手伝いもあり、やっと企画書は仕上がった。

『小瀧くーん！お疲れ様！やっとご飯行けるね！』

「はい、」

自分からOKを出したものの、時間が経つにつれて気分は下がる一方だった。
なんでOKなんて出してしもうたんやろ、

『お店、私が決めちゃっていいよね？美味しい居酒屋紹介する！』

「あ、はい」

女に言われるがまま店についていくと、その居酒屋の前には所謂そういうホテルが建っていた。

「こっちこっちー！」

そんな事には何にも気にしていない素振りで手招きをしてくるが、おそらく全てが計算。あそこに建っているホテルは、あの女の「行きつけ」で何人もの男と一夜を過ごしているんだろう。

(なんか気色悪いわ)

たかが一夜限り。そんなこと気にして何になるって言うんや。女の後に続き居酒屋に入る。
その後は、馬鹿な振りして女に乗せられる様に酒を浴びた。

「もー小瀧くん、飲み過ぎだって！立てる？
どうしよう…お家知らないし、小瀧くん、こたきくーん！取り敢えず、あのホテルで休憩しよ？」

わざとらしい芝居と共に、女のシナリオ通り、俺はホテルに連れて行かれた。