[進撃の巨人]長身の彼と三次元の私 Part2[ベルトルト]

第６３話 「夜空を見上げ」 ページ23

調査兵団の新兵勧誘式が終わった後、 Aは人気の無い場所に独りで座っていた。

ティアに何も言わず来てしまったが、 大丈夫だろうか。

まあ、 ただ一人になりたかっただけだから、 長居するつもりは無いので恐らく大丈夫だろう。

すると、 Aの後ろから物音がした。


「あっ……ごめん。邪魔しちゃったかな……」


ベルトルトだった。

Aは驚き、 しばらく戸惑っていたが、


「い、 いや、 大丈夫だよ」


と返した。

ベルトルトは「そっか……」と言って、 Aの隣に座った。

Aはどんどん早まる心臓の鼓動を落ち着かせようとしたが、 なかなか収まらない。


「……結局、 調査兵団に入ったんだ」


緊張を和らげようとAが発した言葉は、 これだった。


「……うん。あんなに、 憲兵団を希望してたのにね」


既に日が暮れていたせいか、 ベルトルトの表情が少し暗く見えた。


「本当によかったの？ 調査兵団の危険度は、 ベルトルトにだって分かってる筈なのに……」


Aが少し心配気味に言った。


「うん。……でも、 どうしてもやらなくちゃいけないんだ」


夜空に点々と光る星を、 ベルトルトは見つめていた。

その時のベルトルトの決意を固めた様な横顔に、 Aは見惚れそうになった。


「でも……」

「……Aは、 僕に憲兵団に入って欲しかったの？」


ベルトルトからそう言われ、 Aはドキッとした。


「……勿論、 そういう気持ちもあるよ。でも、 まあ…… ちょ、 調査兵団に入ってくれて嬉しい……っていうのもあるよ……」


Aは頰を赤らめ、 下を向きながらぎこちなく言った。


「え……」


ベルトルトの戸惑っている様な様子が、 Aには伝わってきた。


「……そっか。僕も、 嬉しいよ。Aと一緒になれて」


Aが顔を勢い良く上げた。


「えっ……？ ほ、ホント！？」

「うん。だって、 一緒に話してて楽しいし」


微笑んでそう言ったベルトルトと、 少しガッカリしたA。

ま、まあ、 ベルトルトがそう言ってくれただけ良しとしよう。

ベルトルトの顔を見上げ、 Aが微笑んだ。


「これからも、 よろしくね」

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