生姜が好きなヴァンパイアさん【伏黒恵】

22、俺が許さねぇから ページ24

「おかえりー、2人共…ってアレ⁈恵ちゃんがAをおんぶしてる⁈君たちってそういう関係だったの⁈」

高専つくやいなや五条が出迎えてくれた。

うるさいけど。

「…A怪我してるんで、医務室まで連れて行きます。」

「ちょっとまって」

恵が五条を素通りしようとしたとき。

五条がストップと、手を出した。

「そのAの血、僕が舐めてあげよっか？」

舐める⁈

「やめてくださいよ‼︎」

恵が声を張り上げる。

忘れちゃいけない。

五条がヴァンパイアってこと。

Aが元人間であること。

「あんた、生徒の血を舐めるって…！通報されても良いんですか？そんなことしたら、俺が許さねぇから。」

えっ…！

(恵くん、今のどういう…)

恵が早歩きで医務室へ行く。

後ろで五条がキャーキャーしていた。

「ったく、あの最低教師…！」

恵が小言を漏らす。

『…私の血って、ヴァンパイアにとっては食料なのかな？』

「何言ってんだ」恵が少しスピードを落とした。

「そんなわけねぇだろ。お前はまだ実感ないのかもしれないけど、五条さんの親戚って時点でヴァンパイアだ。」

『五条先生のヴァンパイア血って、そんな濃いの？』

「あぁ。できれば俺もヴァンパイアじゃなくて人間に生まれたかった。」

へえー。

恵が静かに言う。

ヴァンパイアもそんな風に思うことがあるんだね。

ヴァンパイアとして人間の血を吸い、今まで生きてきた。

確かにそれを望まない者もいるかもしれない。

ちょっとだけ、ヴァンパイアは可哀想な生き物なんだなって思ったAだった。

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