生姜が好きなヴァンパイアさん【伏黒恵】

19、ヴァンパイアさんの初任務 ページ21

恵言われた通りに右を真っ直ぐ進む。

そしたら本当に学校があった。

『呪霊って、昼しかいないんじゃないの？人間の負のエネルギーを吸うんでしょ？』

「呪霊が負のエネルギー吸うにしても、その分のパワーがいる。そのパワーは夜に蓄えられるから、こうして、学校やショッピングセンターなどの人が集まる所に住みつく習性があるんだ。」

恵にいろいろ教えてもらいながら、校舎の中に侵入する。

スタッ

華麗に着地すると、Aは辺りを見渡した。

夜の学校は、静まり返っていた。

『何もいないよ』

「そりゃそうだ。呪霊は狡猾。普段は息を潜めているものが多い。…あいつみたいに、ヒョコヒョコ出てくるバカはいるけどな。」

え、とAは後ろを振り向く。

そこには三人組の縦に長い呪霊が揃ってA達に近づいてきた。

Aは、すっと、亜夜叉を取り出す。

「一気に畳み掛けるぞ。」

恵も自分の影から呪具を出した。

Aは亜夜叉の色を見た。

薄い緑色になっている。

丁度良い。

この呪具の、力を見てみたいところだ。

恵とAはアイコンタクトをすると、呪霊に近づき、外側にいる二体を斬りつけた。

斬られた呪霊二体は音もなく消えた。

あと一体。

『この呪霊、弱い？』

「おそらく3級以下だろう。」

『じゃあすぐに祓えるね。』

その時、チカッと、亜夜叉が一瞬緑色に光った。

…なんとなく、この呪具の使い方がわかった気がする。

『恵君、あとは私に任せて。』

Aは呪霊近寄ると、亜夜叉をかざした。

すると、呪霊の頭上がさっきと同じ緑色に光る。

Aは呪霊に蹴り入れ、離れた。

『空隻呪法、蚓‼︎』

そう言った瞬間だった。

呪霊が亜夜叉に引き寄せられるように向かってきた。

そこを狙う。

引き寄せられた呪霊を亜夜叉で一突き。

抵抗なく、呪霊はあっさりその攻撃で姿を消した。

初めて亜夜叉を使いこなせた。

「よくわからないけど、お疲れ。」

ポンと、恵はAの頭に手を置くと、そのまま校舎に入ってしまった。

多分まだ呪霊いる。

人間を守るため、私は恵君と夜の学校で戦って行くんだ！

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