生姜が好きなヴァンパイアさん【伏黒恵】

18、ヴァンパイアさん、人間界に行く ページ20

「ここの町の学校に呪霊が出たとの通報があった。恵、A、2人で祓って来て。」

五条が地図を広げて説明する。

『学校に呪霊が出るんですか？』

「呪霊は、人間が多く居る場所を好むからね。特に小さい子なんか、ちょっとしたことで負の感情がじゃんじゃんばりばりだから。」

「なんすか、じゃんじゃんばりばりって。」

若干引き気味の恵が五条を変な目で見る。

とにかくAは初任務である。

呪霊なんて見たことないから、内心ワクワクしているA。

それを見た恵が「緊張感」と言って、ポコッと、Aの頭を小突く。

恵はやっぱりエスパーなのかもしれない。

「Aは初任務だね。自分の力を確かめる良い機会だと思う。恵、サポート頼むよ。」

五条がひらひらと手を振ってお見送りをしてくれた。

『行ってきます』

Aは亜夜叉の入った肩掛けを強く握りしめた。

歩いて、人間界入り口ゲートに行く。

Aたち以外にもたくさんのヴァンパイアがゲートをくぐっていた。

『久しぶりの人間界だな。みんな元気かな？』

「ほら、とっとと行くぞ。」

恵に手を引かれ、ゲートを潜る。

しばらくただ白いだけの空間を歩く。

ゲートはA以外にもたくさんのヴァンパイアがいたはずなのに、この空間はAと恵しかいない。

やがて、出口が見えた。

外からは、人間界の夜の風景がちらりと見える。

「この空間を出たら、大通りに出る。その道を右に真っ直ぐ進むと、今回の任務の場所の学校があるはずだ。」

うん、と大きく頷く。

そして、外の世界に一歩足を踏み入れた。

ただいま。

帰ってきたよ、人間界。

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