°６４ ページ20
来た時と同じく、カルトに背負われて元来た道を引き返す。
カルトが早すぎる故の風を顔に受けて、私は口を開いた。
｢…カルトはさ、やっぱりキルアに行って欲しくないんだよね。｣
｢当たり前だ。兄さんも言ってたろう。｣
｢イルミ?｣
｢そ。｣
カルトは小さく唇を噛み締める。
私にはゾルディック家が分からない。
カルトやゼノさんみたいな人も居れば、イルミやキキョウさんのような人も居る。
勿論キルアは大事な仲間で、私達の友達なのだ。
…"難しいね"なんて私は呟く。
それを聞いてか聞かずか、カルトは相変わらずの速さでザッザと小道を進む。
だけど、それはイルミとはまた違った、なんだか安心するような雰囲気だった。
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｢ほら、着いたよ。此処が執事室。｣
｢ありがとう、カルト。｣
お礼を言われ慣れていないのか、無言で私を引きずり下ろそうとするカルト。
｢いたた、自分で降りれるよ!｣なんて私が懇願するように言うと、カルトはすっくと立ち上がった。
結果的に、私は地面に振り落とされる形になって。
…やられた。全く素直じゃないもんね。
ギリギリの所でバランスを保って、何とか無傷で立ち上がる。
…カルトはちょっとだけ寂しそうな顔をして、それから私の服に付いた土を払ってくれた。
私は微笑んで、もう1回あの言葉を言う。
｢＿ありがとう、カルト。｣
一瞬、カルトが手を止める。
｢…別に。
じゃあボク、もう戻るから。｣
そう言うと、カルトはゾルディック特有の素早い動きで来た道を振り返る。
そのまま私や執事室の扉には目もくれず、ザッザと小道を歩き出した。
｢…また会おうね。｣
そう私が言ったら、カルトは数秒立ち止まって…やっぱり振り返らずにまた歩き出す。
だから私も反対方向を向き、残り数メートルの距離の扉を目指して進み始めた。
…扉の取手に手を掛けて、ふと後ろを振り返る。
カルトの後ろ姿はもう見えなくなっていて、"やっぱり速いね"だとかそっと呟いた。
そっと前に向き直る。
"やっと戻ってこれた"っていう達成感だけでも、俄然元気が湧いてきて。
…この扉を開けば、皆が居る。
トクトク、と脈音が騒がしくなってきたのを感じながら、私は両手に思いっきり力を込めた。
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なぎテラス(プロフ) - ひなさん» お久しぶりです!!かなり期間の空いた更新となってしまいましたがそう言っていただけて有難いです…!リアルの都合もあって更新はのんびりかもしれませんが、本当に嬉しいコメントでした〜!!良いお年を!! (2021年12月31日 17時) (
レス) id: d905f406c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - わ〜〜い！！！続きずっと待ってました(*´∀`) カルトちゃん視点新鮮で好きです...！ いつもお忙しい中更新してくださってありがとうございます`ω´ ずっと応援していますので無理せず頑張ってください...！(長文失礼しました) (2021年12月30日 23時) (レス) @page30 id: 88d9ed8815 (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます~!!好きな作品と言って頂いて、やる気が満ち溢れております。マイペースではございますが、これからもゆっくり読んでくれたら嬉しいです! (2021年8月13日 8時) (レス) id: d905f406c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - お気に入り100おめでとうございます...！！ 自分の好きな作品がこうしてたくさんの人に読まれてとても嬉しいです(//´ω`//) 続きを全力待機...！(( (2021年8月3日 22時) (レス) id: 88d9ed8815 (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - コメントありがとうございます!!私もクラピカ最推しです…!暖かい応援頂いて、とても励みになりました。頑張って書きますね!! (2021年7月3日 7時) (レス) id: 92777b1f7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年3月14日 18時
