°６３ ページ19
＿渡された名刺を、再びまじまじと見つめる。
｢…ヒソカと同じ事してる。手紙渡されたもん。｣
ぽそっと言うと、イルミは｢気に食わない?｣と態とらしく首を傾げた。彼の態度は最後まで他人行儀。
私はヒソカの手紙と一緒に、イルミの名刺を仕舞う。
よく見ると、その名刺は小洒落ていて。
…そういえば、カルトもキルアも何処か
気品があるもんね。
｢縁がないのが1番だと思うけど…何かの時の為に覚えておくね。｣
＿貴方がキルアを笑って送り出せないのが、私は1番心残りなのだけど。
そんなことが頭をよぎったけれど、音にすれば今度こそ殺される筈。
だけど私も、最終試験の時の激情がまだ深くで煮えているから、それから私達はカルトが来るまで言葉を交わさなかった。
#
｢…絶対死んだと思った。｣
キルアによく似た目を瞬きさせて、迎えに来たカルトが言った。
…悔しいけど、私もそう思う。
イルミが去って、来た道を戻る。
ゾルディック家にこっそり侵入した事で、私達にはある種の連帯感みたいなものが、不思議な形で生まれていた。
階段を降りてから長い廊下を渡って、ここまで来れば終わりは近いんだっけ。
｢玄関ってこっち?｣
｢うん。扉の音には絶対気をつけてよ、お母様に気付かれちゃ困る。｣
おかしなことに、ここに来て腰を据えたらしい私は、カルトの忠告通りにそっと玄関の扉を開ける。
もしかすれば、"死ぬかもしれない"体験をした人間は、ちょっとだけ強くなるのかもしれない。
…それは私が、ゾルディックに慣れだしてしまったという証でもあって。
｢それじゃあこのまま、キミを執事室まで連れて行く。｣
｢わかった。｣
外に出てから玄関先で腕を組み、そう確認するカルト。
私の答えを聞くと、カルトはくるっと進行方向を見据える。
それに合わせて着物の袖がひらりと舞うのが綺麗で、私は思わず見とれた。
｢…何?｣
｢何でもないよ。…ただ、長い1日だったな、って。｣
本当に長かった。朝ゼブロさんの所を出発して、それからカルトと出会って…。
体にどっと疲れを感じる。でも悪い感じじゃない。
漸く皆と再会出来ると思えば、すぐに浮き足立ってしまう。
｢ヒヤヒヤしたよ。全部上手くいったけどね。｣
｢ほんとに助かったよ。｣
｢お人好しだな。
＿それじゃあ行こうか。｣
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なぎテラス(プロフ) - ひなさん» お久しぶりです!!かなり期間の空いた更新となってしまいましたがそう言っていただけて有難いです…!リアルの都合もあって更新はのんびりかもしれませんが、本当に嬉しいコメントでした〜!!良いお年を!! (2021年12月31日 17時) (
レス) id: d905f406c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - わ〜〜い！！！続きずっと待ってました(*´∀`) カルトちゃん視点新鮮で好きです...！ いつもお忙しい中更新してくださってありがとうございます`ω´ ずっと応援していますので無理せず頑張ってください...！(長文失礼しました) (2021年12月30日 23時) (レス) @page30 id: 88d9ed8815 (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます~!!好きな作品と言って頂いて、やる気が満ち溢れております。マイペースではございますが、これからもゆっくり読んでくれたら嬉しいです! (2021年8月13日 8時) (レス) id: d905f406c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - お気に入り100おめでとうございます...！！ 自分の好きな作品がこうしてたくさんの人に読まれてとても嬉しいです(//´ω`//) 続きを全力待機...！(( (2021年8月3日 22時) (レス) id: 88d9ed8815 (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - コメントありがとうございます!!私もクラピカ最推しです…!暖かい応援頂いて、とても励みになりました。頑張って書きますね!! (2021年7月3日 7時) (レス) id: 92777b1f7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年3月14日 18時
