°５６ ページ12
｢ねぇカルトちゃ…。｣
｢ちゃんは要らない、カルトで良い。｣
言いかけた言葉に被せて、食い気味に訂正された。
"じゃあ、カルト"と私が言うと、カルトは承諾する様に頷く。
どうやら'ちゃん'と呼ばれるのが嫌だったらしい。
…もしかするとこの子だって、まだ年相応な所もあるのかも。
｢カルト、ゾルディック家に行ってどうするの?｣
｢おじい様に会って、キミの雰囲気の正体を探ってもらう。きっとおじい様なら分かるから。｣
｢おじい様って、カルトの?｣
｢そ、ボクの。｣
顔を上げれば、ゾルディック家の屋敷はもう目と鼻の先。
#
お屋敷の扉の前。
威圧感に飲まれるようにして、音を立てないように2人で佇んだ。
｢それじゃ、ここからが殺し屋一家の本部な訳だけど。…一応聞くよ、着いてこれる?｣
｢うん。折角ここまで来たんだもんね。｣
問い掛けに頷き、心の中で自分を鼓舞する。
カルトにとって私の答えは予想済みだったみたいで、あまり驚かれたりはしなかった。
｢…キミ、思ったより度胸あるよね。普通の人間なら逃げると思うけど。｣
｢あ、そのキミっていうの駄目。｣
私の発言に、カルトは"は…?"とでも言いたげに目を見開いた。さっきは驚かなかったのに、こっちも驚いちゃう。
｢私はAだよ。…カルトも名前で呼んで良いんだからね。｣
にっ、と悪戯っぽく笑う。そしたら、カルトの黒目がもっと小さくなった。
私は何だかそんなカルトに申し訳なくなって、"じゃあ、行こっか"なんて誤魔化す。
カルトはまだ吃驚してるみたいだったけど、ちょっとだけ優しい顔になっているのが分かった。ゴンじゃないけどね。
＿そして、ゾルディック家の扉が開く。
お邪魔しますと小さな声で言ったら、歓迎するように木がざわめいた。
#
｢失礼します、カルトです。客人を連れて来ました。｣
屋敷に入って10分余り。
カルトに案内され、ある部屋の前に辿り着いた。
ここにカルトのおじい様が居るらしい。
…それはつまり、キルアの祖父でもあるという事で。
｢ここに居るのがおじい様。勿論ゾルディックの一員だよ。｣
そう言ってカルトは戸を開けると、私を部屋に押し込む。
見れば部屋の中の人物は、威厳たっぷりに座っていた。
｢…こんにちは。｣
｢＿ふむ、ようこそ。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎテラス(プロフ) - ひなさん» お久しぶりです!!かなり期間の空いた更新となってしまいましたがそう言っていただけて有難いです…!リアルの都合もあって更新はのんびりかもしれませんが、本当に嬉しいコメントでした〜!!良いお年を!! (2021年12月31日 17時) (
レス) id: d905f406c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - わ〜〜い！！！続きずっと待ってました(*´∀`) カルトちゃん視点新鮮で好きです...！ いつもお忙しい中更新してくださってありがとうございます`ω´ ずっと応援していますので無理せず頑張ってください...！(長文失礼しました) (2021年12月30日 23時) (レス) @page30 id: 88d9ed8815 (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます~!!好きな作品と言って頂いて、やる気が満ち溢れております。マイペースではございますが、これからもゆっくり読んでくれたら嬉しいです! (2021年8月13日 8時) (レス) id: d905f406c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - お気に入り100おめでとうございます...！！ 自分の好きな作品がこうしてたくさんの人に読まれてとても嬉しいです(//´ω`//) 続きを全力待機...！(( (2021年8月3日 22時) (レス) id: 88d9ed8815 (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - コメントありがとうございます!!私もクラピカ最推しです…!暖かい応援頂いて、とても励みになりました。頑張って書きますね!! (2021年7月3日 7時) (レス) id: 92777b1f7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年3月14日 18時
