42 テヒョン編 ページ43
チョン「ぼ、坊っちゃん!!見てはいけません!!」
チョンは俺のそれを見てはいけないかのように俺の体を覆う。
俺は呆然としていた。
目の前にいる奴は俺の世話役として担当していた執事のチョン。
そいつは慌てたように、何かを言っていたが何も聞き取れなかった。
チョン「よ、よく聞いてください……」
隙間から見える彼の後ろの先を見る。そこにはぶらぶらと揺り篭のようにゆっくりゆっくりと揺れていた。
それはなんなのか理解したくなかった。
理解してはいけないと感じたのだ。
だって…
そこには…
俺の…
チョン「旦那様は深い深い眠りにつきました。」
揺り篭のようにゆっくりゆっくりと揺れているそれは、俺のお父様だった。理解するのに時間が掛かる。だって俺はまだ小さいから。
悲しい。切ない。
テテ「は…は…はははは」
チョン「坊っちゃん……?」
テテ「あははははは!!」
でも、嬉しいんだ。
これで自由だから。お父様にお懲りる必要がない。
彼は狂ったように笑う俺を見て、彼は動揺していた。
チョン「お坊ちゃま…」
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お父様の葬式が行われた。
アメリカにいたお母様も韓国に帰り喪服を着て静かに座りお父様の顔が写る遺影をずっと眺めていた。
俺も静かに彼女の隣に座り、ただただ遺影を見つめるしかなかった。
葬式が終わった後、お父様の部下だろう人が俺たちにお辞儀をし、父の遺影にお辞儀をする。
部下「謹んでご冥福をお祈りいたします。社長の事は本当に尊敬していました。」
そう言い一礼した。
そんなこんなで葬式の幕は閉じた後、俺たちは片付けなどをしていた。
チョン「お坊ちゃま…」
俺が椅子などを畳んで運んでいた所、チョンに名前を呼ばれる。
チョン「お坊ちゃまはこれからふつうの人と同じ暮らしをします。慣れない事も多いと思いますが…頑張ってくださいね。」
彼は俺の肩を強く握り俺の高さにあわせていた体制からすぐたち俺に一礼をする。
「僕はもうお坊ちゃんでも金持ちの子供でもない。そんな一礼などいらない。」
チョン「…かしこまりました…。」
俺はまた椅子を持ち彼に背を向けた。
「チョン…さようなら…」
彼に聞こえないようにそう言い、下を向く。
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作者名:マリモ | 作成日時:2021年12月3日 21時