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そこにはテヒョンがいた。
「あれ?テヒョン?なんで戻ってきたの?」
私は顔を見られないように彼から背を向ける。
テテ「……忘れ物…」
「そっか…なに忘れたの?」
テテ「Aに言いたいことがある。その忘れ物かな」
「えっ」
彼は後ろからぎゅっと私を優しく包み込む。
私はその太いがっちりとした腕に触れる。
涙よりもドキドキが止まらない。さっきまで涙が溢れていたのが嘘のように止まり、今は心臓の音が鳴き始めた。
「テ、テヒョン?」
テテ「俺、ずっと前からAの事が好きだった」
きっと中学の時の事だろう。
「私に告白するときもそう言ったよね!でも私は最初、テヒョンと出会った時クールでイケメンで近寄りがたい人だった…」
私は昔を思い出してクスクス笑う。
「でもヨナとテヒョンと三人で一緒にいるようになってから私、テヒョンの事好きになってて…だかr「違う…」?」
彼は思い出話を遮るように言った。
テテ「違う…」
彼は私の顔を見る。そのまっすぐな目は告白された時と同じ目をしていた。
テテ「違うんだ…」
何度も「違う」と一点張り。
彼が何を伝えたいのかわからなくて、私は首を少しかしげた。
「どういう事かな?テヒョン、わかるように言って貰わないとわからないよ?」
彼は私に「なんでもない」と一言言い、去っていった。
私も彼を引き留めることが出来なかった。
ただただ、ドアがゆっくり閉まっていく行く彼の背中を病室で見送ることしか出来なかったのだ。
だって
彼の顔はなんだか、悲しいような苦しいような…なんとも言えない表情をしていたから。
「テヒョン…」
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作者名:マリモ | 作成日時:2021年12月3日 21時