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「どうしたの?そんなに慌てて」
ヨナは私の前にスマホを見せつける。
そこに写っているのは私たちが毎年行っている釜山の花火大会。
「これがどうしたのよ?毎年行ってるじゃない」
ヨナ「違うの!!ここを見て!」
そこには小さく、[中止]と書いてあった。
毎年行われていたのになんで?
ヨナ「…その…花火作ってる人が怪我をしちゃって…」
私の数少ない命の時に偶然怪我をする花火師。
なんて不幸なのだろうか…
私はぎゅっと自分の服を握りしめる。
テテ「馬鹿だな、お前は」
そう言って私の頭に手をのせる。
テテ「でっかい見上げる花火は俺たちでは出来ないけどちっさい見下ろす花火は出来るだろ?」
テテ「7月21日、夏休みが入ったらヨナと手持ち花火たくさん買ってくるから」
私はなんて幸せ者なのだろうか。二人に愛されている。
私は少しだけ心を締め付ける何かが中にいた。
「うん!」
でも、グッと堪えるからね。二人には弱いところはもう見せない。
彼女たちが帰った後、私は車椅子に乗り窓側に向かう。
窓を開け外を見る。気持ちいい暖かい風が私の顔に触れる。
もう春から3ヶ月経ったんだよね…。
私の命ももう数ヶ月………かぁ…。
もし…。
この病気が治ったら…。
「そんなこと…出来るわけ無いよね…」
そう…
出来るはずがない。
私は両目から涙が零れ落ち、それを両手で拭く。
いつから泣き虫になってしまったんだろうか、この病気を持つ前は笑いっぱなしだったのに。
「怖い…」
あぁ…そうか…私…怖いんだ。
体と脳が追い付いておらず、私は数秒間遅れて理解した。
すると後ろから扉が開く音が聞こえた。
「えっ…」
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作者名:マリモ | 作成日時:2021年12月3日 21時