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私はベッドの上で窓の外を眺めたり本を読んだりしていたら看護師が病室へと入ってきた。
看護師「暑くなってきたわね〜…」
そう言いながら彼女は窓を少し開ける。
窓のからは暖かい風が吹き今日で最後であろうこの長い髪の毛が靡いた。
看護師「もう少し暖かい季節になったらあそこの庭の大きな木も桜が咲くころかしらね。」
そこには一本だけ生える大きな木。私はそれを見る。
「私が死んだら、私の骨を粉骨にしてあそこに流して欲しいな」
そう言うと看護師はビックリしたように私を見る。
看護師「貴女が生きてたらそれは必要なくなるわね。死ぬことを考えるより今を楽しみなさい。そうしないとつまらないわよ。人生、つまらない女になってはいけないわ。」
そう言ってワゴンに料理を乗せ私の近くの机にご飯を乗せる。そのお盆には1袋の中に白色の大きな塊が3つ入っていた。
私はすぐに病気を治す薬だと理解したのだった。
いよいよ、髪の毛は無くなる時間がやってくる。
この髪の毛にはいろんな思い出が詰まっていた。
看護師「また治ったら伸ばせば良いさ…」
私の頭を撫でるように何回も何回も私が薬を飲み終えるまで見守ってくれていた。
看護師「これで次は…次の週に飲みましょう。何かあったらナースコールのボタンを押すのよ?」
私は首だけを縦にふった。
看護師がいなくなったらふと涙が溢れてくる。
自分ではなくなることに恐怖が芽生え始めた。
死ぬかもしれない、この後服反応が出るかもしれない。
何もわからない自分に体がガタガタと震え出す。
誰もいないこの空間で助けを呼べるのだろうか…
不安がいっぱいに溢れ出た。
この時にふと出てきたのは、テヒョンのこと。
側にいてくれたら私は安心するのだろうか…
助けて…
テヒョン…
私…
すごく…怖い…
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作者名:マリモ | 作成日時:2021年12月3日 21時