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看護師「その内、貴方に強い薬を貰うことになるわ。」
看護師は車椅子を動かすのを辞め大きなガラス張りの外へと顔を向ける。
「それってつまり…」
看護師「多分TVとかで見たことあるんじゃないかしら…髪の毛が抜けたり、ベッドから起き上がれなくなったり……ってね。」
確かに、私はまだ髪の毛はあるし、薬は飲んでいるが恐らく強くないものを飲んでいるらしい。
でも、なぜ私は…
看護師「貴方のご家族が止めたのよ。ここまでは知らなかったでしょ?辛い思いをさせたくないって。でももう今の薬じゃ癌は消えることなんてないわ。残念だけどこれが現実よ…」
また彼女は車椅子を押し歩き出す。私は何も言えずただ彼女の履くナースシューズの音が廊下の周りに響き渡っているのを聞くことしか出来なかった。
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お昼ご飯が終わり、自分一人で車椅子を動かし屋上へと足を運ぶ。
空気と光を浴びながら考えたかったから。そうしないと、自分ではなくなりそうだったから。
病院なんて好きで寝たりご飯食べたり、お風呂入ったりなんてしてない。実際前の自分に戻りたい。あの頃が当たり前だが一番幸せだった。
…私のせいで、家族も友達も恋人も狂わせてる気がする。
[じゃあ…結論全部私のせいじゃん…全部私の頭にいる癌がいるから……]
私は枯れた声で静かに笑った。
バン!!
「!?!?」
ヨナ「あっ!!いたいた!!おーい!!テヒョン!Aいたよ!!」
いきなり重たい鉄のドアが思いっきり開き私は体が跳び跳ねた。
そこにはヨナとテヒョンがいて、二人は私の方へと歩み寄っていく。
ヨナ「もう!探したんだからね!看護師に聞かなかったら私たち夜中まで、探してたんじゃない?」
テテ「それは言い過ぎな。」
ヨナ「いやいや!!本当よ!私意外と方向音痴だからね!」
テテ「それは…ただの馬鹿と一緒だな。」
ヨナ「ちょっと!?馬鹿って!!馬鹿って言った方が馬鹿なのご存じですかー!?あっ、聞いて!これね……ってA…?」
彼女達は私を見て唖然としていた。
テテ「泣いてる…のか…?」
「えっ……」
私…泣いてるの?
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作者名:マリモ | 作成日時:2021年12月3日 21時