Lost 44 ページ15
風がやや強く吹き渡る屋上。
翌日の昼休み、
俺は正門を呼び出した。
正門｢………なぁ、誠也くん。
………佐野くんって子｣
末澤｢………うん、知っとる｣
正門はおそらく昨晩。
佐野が消える夢を見たんだろう。
それが手に取るように分かる。
末澤｢………佐野は、
消えた｣
一晩が経ち、
佐野のクラスへ向かったら
アイツはいなかった。
まだ来てないのかと思い、
佐野の同級生に聞いたら
『誰ですか？その人』
と答えが返ってきた時に
全てを察した。
正門｢………やっぱり、俺のせいで｣
末澤｢それは分からんて言うてるやろ。
お前のせいとは限らん｣
正門｢………でも｣
末澤｢謝んな。大丈夫やから｣
俺は正門の肩にポンと手を置く。
末澤｢なぁ、この先後悔なく生きよな｣
正門｢………誠也くん？｣
末澤｢俺はもう覚悟できてる。
やから、後悔なく今を生きる｣
正門｢………何言うてん｣
末澤｢悟らん方がおかしいやろ｣
佐野がいなくなって、
もう心の底から決めたんや。
今を、
精一杯に生きよう、
って。
末澤｢………でな。お前に頼みあんねん｣
正門｢何？｣
末澤｢もし俺が消えたら、
Aのこと頼むわ｣
俺がこの先消えた時には、
正門にもAにもきっと
俺の記憶はないはずだけど。
でも、伝えておきたかった。
Aは人見知りだから
人付き合いが得意じゃない。
俺がいない世界で生きるAは
どうなるのか分からないけど、
きっと1人きりなんじゃないかって。
だから、正門に託したい。
俺の代わりに、Aの事を
支えてやって欲しい。
正門｢ちょ、何言うてんねん？！
それは俺の役目ちゃう！｣
末澤｢頼む。いつかはきっと
そうなる未来やと思うから｣
正門｢誠也くんらしくないわ！
解決策、何とかして見つけようや！｣
末澤｢見つからんから頼んでんやろ！｣
俺らは互いに声を荒らげる。
決して諦めた訳じゃないけど。
今言える事が、これしかない。
末澤｢俺がこっちにおるまでは
意地でもAの支えになる。
けど、消えたら支えになれん。
やから、引き受けてほしい……｣
正門｢誠也くん………｣
頭を下げる俺の姿を
正門はどんな表情で
見ているのだろう？
更に勢いを増した風が、
俺の体を強く叩きつけた。
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ゆい(プロフ) - もう更新はしないんですか？？？ (2021年3月17日 1時) (
レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話ほんとに面白いです(*≧∀≦*)ハラハラしながら読んでます。無理しないで頑張ってください！更新待ってます！ (2020年3月5日 8時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか - 更新待ってます！ (2020年2月21日 22時) (レス) id: 6f297082fe (このIDを非表示/違反報告)
なにふぁむみ☆ - あ、元みぃ☆です (2019年12月25日 22時) (レス) id: bd60e02c69 (このIDを非表示/違反報告)
なにふぁむみ☆ - 大変ですね…。ずっと待ってるので、頑張ってください！ (2019年12月25日 22時) (レス) id: bd60e02c69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sakura | 作成日時：2019年10月24日 22時
