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Lost 39 ページ10

日に日に風が冷たくなり、

冬の気配を感じ始める。





もう11月も半ばに近付く頃。








末澤「………今日も、大丈夫」





俺は最近、朝を迎える度に

目の前の世界を確認する。



いつもと変わらない、部屋の中。





それがAや正門、佐野も

同じであって欲しいと願う日々。






A「誠也、早くしてよ」

と呆れて溜息をつく姿を見たり




正門「誠也くん、おはよ」

と挨拶を毎朝交わしたり





佐野「今日も収穫なしです」

と毎日欠かさず報告を受けたり







これが俺にとっての、いつもの日々。






慣れた訳ではない。


アイツらを思い出さない日はない。





いつかまたどこかで会えると

信じる気持ちも変わらない。






俺が諦めたら、たぶんそこで。




全てが失くなる気がするから。









正門「………なぁ、寒ない?」

末澤「………寒いな」

正門「暑がりの俺でもさすがに寒いで」





俺と正門は昼休みに学校の屋上で

一緒に過ごす事が増えた。



周りの奴らに聞かれたくない話が

あるというのが大きな理由だけど。





正門「佐野も誘おうや」

末澤「アイツ細いから、風に
吹き飛ばされていきそうやん」

正門「………分からんでもない」




俺らはくだらない話も交えながら

寒空の下で細々と語らう。





末澤「最近、変な夢は見いへんの?」

正門「そやね。見てへん」

末澤「それならちょっと安心したわ」

正門「………てか、寝たくないねん」

末澤「………やからか。お前、目の下のクマ
どんどん酷くなってる気ぃしたんよ」

正門「そんなに酷い?」

末澤「青い通り越して、割と黒い」




「食事は出来てるから大丈夫」

なんて、正門は笑うけど。




末澤「寝なあかんって」

正門「大丈夫やって」

末澤「そんなん言うてるうちに
いつか倒れたらどうするんや?」

正門「誠也くん、大げさやって」

末澤「心配やから言うてんの!」




消えるとか消えないとかの前に

何よりも体調が心配になるのは

仲間として当然やん。



正門は妙なとこで意地を張るから

こういう時に説得できた試しがない。





正門「誠也くんには迷惑かけへん」

末澤「別に迷惑なんて思っとらん」

正門「心配かけるんは迷惑やろ?」

末澤「心配するんが仲間やろ」

正門「ん〜、そやなぁ」




正門は頑として聞く耳を持たない。




これは何を言っても

絶対に言う事聞かんな。









末澤「……ほんっとに、知らんからな!」

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ゆい(プロフ) - もう更新はしないんですか??? (2021年3月17日 1時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話ほんとに面白いです(*≧∀≦*)ハラハラしながら読んでます。無理しないで頑張ってください!更新待ってます! (2020年3月5日 8時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか - 更新待ってます! (2020年2月21日 22時) (レス) id: 6f297082fe (このIDを非表示/違反報告)
なにふぁむみ☆ - あ、元みぃ☆です (2019年12月25日 22時) (レス) id: bd60e02c69 (このIDを非表示/違反報告)
なにふぁむみ☆ - 大変ですね…。ずっと待ってるので、頑張ってください! (2019年12月25日 22時) (レス) id: bd60e02c69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sakura | 作成日時:2019年10月24日 22時

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