Lost 8 ページ8
福本｢……じゃあ、みんな。今日はほんまにありがとな｣
夕暮れ時が迫る頃。
誕生日会が終わって俺の家の前で
全員が解散しようとしていた。
末澤｢あ、大晴。俺もちょっと行く｣
福本｢え？何か用事あるん？｣
末澤｢いや、大晴と話したくて｣
俺は何となく名残惜しくて、
大晴の歩き出した方向へと
並んで一緒に歩き出す。
福本｢誠也くんが今日の企画してくれたんやね｣
末澤｢ん……まぁ。俺が声掛けへんかったらアイツら動かんもん｣
福本｢ははっ。それは言えとるかも｣
末澤｢……なぁ、大晴。あんまり根詰めんなよ｣
俺はどうしてもこの言葉が言いたくて。
大晴からしたら、嫌味に聞こえるかもしれんけど。
福本｢何言うてるん。誠也くんの方が今忙しいやろ｣
俺は指定校推薦で受験が決まっとって、
もうすぐで試験日が迫っている。
確かに忙しいけど、大晴に比べたら
俺は全然苦労なんてしてへん。
末澤｢大丈夫や。俺は大晴の方が心配や｣
福本｢え、それは俺が落ちるかもってこと？｣
末澤｢ちゃうわ。体調とか、色々｣
福本｢平気やで。俺はそんなヤワちゃうよ。
絶対に大学に受かって、親に楽させたいから俺は頑張れるんやもん｣
大晴の家庭は裕福と言える訳ではなくて、
私大や専門学校に通うくらいなら
国公立大に通って少しでも就職に
有利になるようにしたい。
それは前から聞いとった。
福本｢勉強嫌いちゃうもん。目標があればもっと好きになれる｣
末澤｢そう言える大晴はほんまにスゴいわ｣
福本｢俺、勉強しか取り柄ないから。俺から勉強を取ったら、何もなくなるねん｣
大晴は少し寂しそうな表情を浮かべて、
ピタッと立ち止まる。
福本｢俺も誠也くんみたいになりたかった｣
夕日に照らされた大晴は、
繊細で、儚くて。
手を伸ばして触れようとしたら
今にも壊れそうなくらいに
切ない表情を浮かべていた。
末澤｢大晴、それどういう意味……｣
福本｢……誠也くん。帰るの遅くなるで。俺はもうここで大丈夫やから。
じゃあ、明後日また。学校でな｣
大晴は半ば強制的に話を切り上げて、
俺に背を向けて歩いて行った。
俺はここでもっと大晴と話せば良かったんや。
夕日に向かって行く、大晴の姿。
俺が大晴を見た、最後の瞬間だった。
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(名前)(プロフ) - ミコト (2020年1月1日 17時) (
レス) id: 2986b26a99 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - Sakuraさん» もちろんですっ！楽しみに待ってますね(*´ω｀*) (2019年10月8日 7時) (レス) id: 9a27e5dd2d (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 咲良さん» コメントありがとうございます！とてもとても嬉しいです……！夜間の更新ばかりでご迷惑をお掛けしてしまいますが、ぜひこれからも楽しみにお待ち頂けたら嬉しいです！よろしくお願いします☆ (2019年10月8日 1時) (レス) id: be91c59430 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - すっごく面白いです^^今1番更新を楽しみにしてる作品かも...！更新頑張ってください(*´ω｀*) (2019年10月7日 7時) (レス) id: 9a27e5dd2d (このIDを非表示/違反報告)
みぃ☆ - はい！勿論、読み続けますっ！更新、頑張ってください☆ (2019年10月6日 16時) (レス) id: 38f9af8661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sakura | 作成日時：2019年9月19日 0時
