Lost People

Lost 22 ページ22

末澤｢……ん〜。やっぱないなぁ｣

A｢ねぇ、早くしないと遅刻するよ｣

末澤｢そうなんやけど……｣







土日の試験は滞りなく終わり、

後は合格発表を待つのみ。



けど、一つだけ気がかりな事が。







末澤｢小島からもらったやつ、どこ行ったんやろ……｣




日曜の試験が終わってから

家に帰ってきてカバンの中身を

ひっくり返した時。




小島からもらった単語カードが

どこにも入っていなかった。



試験を終えてカバンの中を

見た時には確かにあったのに。





A｢誠也ー。先に行くよー。｣

末澤｢ちょ、今行くって！｣







俺は結局、単語カードを見つけられずに

学校へ向かうことにした。





A｢何探してたの？｣

末澤｢ちょっと、もらったもん｣

A｢女の子からのプレゼント？｣

末澤｢そうやったらええけどな。違うわ｣








小島に会ってお礼を言いたいけど

無くしたことがバレたら

ショック受けるかもしれんよな。

でもお礼だけは言わんとな……。









放課後になり、俺は生徒会室へ

向かう廊下を歩いていた。



今日は定例会開催日じゃないけど

引き継ぎが終わっていない役員は

集まることになっている。







末澤｢お、佐野｣

佐野｢誠也くん。お疲れさまです｣





生徒会室の前で俺は佐野に

ばったりと出くわした。





佐野｢来てくれてありがとございます｣

末澤｢引き継ぎ終わってへんからな｣

佐野｢受験でバタバタしてましたもんね｣

末澤｢……あ、受験で思い出したわ。

佐野もあれ、手伝ってくれたんやろ。
ほんまありがとな｣







小島が単語カードを作るのに、

佐野が手伝ってくれたことを

不意に思い出して。





俺は佐野にお礼を告げた。









佐野｢……あれって何ですか？｣

末澤｢え？あれやで、単語カード……｣

佐野｢そんなん作ってませんよ｣





え？

佐野がデータを管理してて、

飛ばしたんやなかったか？







佐野｢受験で疲れてるんちゃいます？｣

末澤｢いや、そんなに……｣

佐野｢疲れてたら今日の引き継ぎ、
無理せんでも大丈夫ですよ。

……僕はいつでも平気なんで｣









━━━何か、おかしい。









その疑念は、

次に佐野が発した言葉で

確信へと変わった。









佐野｢僕、何とか頑張りますよ。









誠也くんに負けない生徒会長になります｣

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