糸師凛の幼馴染は無防備過ぎる。2

56話 ページ7

小さい頃から一緒にいた。


凛くんと、冴くん。


冴くんは途中でスペインに行っちゃって、今の今までずっと一緒にいてくれたのは凛くんだけ。


何かこれといって胸を張れるものがなくて、強いて言うなら何の役にも立たない″絵″。


まぁそれでも生きていられるし、良いかな、なんて。


凛くんが隣にいて、何かあったら凛くんに言ったら、嫌な顔しながらでも助けてくれる。


付き合ってないの、とか、好きなんじゃないの、とか、よく言われるけれど、そんなこと考えたことがない。


だって、そんなこと考えなくたって、なんとなく凛くんはずっと一緒にいてくれる気がしてたから。


あぁ、でも、私は勝手に凛くんもこう考えてるって思い込んでたのかもしれない。


凛くんにはサッカーがあるし、冴くんみたいに形は違えど私から離れていくかもしれない。


凛くんのいない毎日は思ったより辛くて、朝、凛くんに起こしてもらっていたのに、今では無機質なアラームの音。


乱れた服を少しだけ直して、リビングで朝食をゆっくり食べて、いつの間にか遅刻しそうな時間になってて。


全部、全部1人。


放課後、凛くんがいないからサッカー部を待たずに真っ直ぐ家に帰るし、料理すると怪我ばかりするからコンビニのご飯が増える。


雷の鳴る夜、私を抱きしめてくれる凛くんがいない。


学校のクラスメイトは皆優しいけれど、やっぱり、やっぱり、



寂しい。

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