No.8 ページ10
船は手で漕ぐよりも速く、風が無くとも確実に、エースの炎で前へと進んだ。
美しすぎる島・シクシスは、小さくなっていく。
二人は振り返り島を眺めていたが、エースがぽつりと言った。
エース「最初は、早いとこ宝でも見つけて、そんでもって強ェ海賊に勝って勝って勝ちまくって名を上げなきゃって、そう思ってたんだ……
けど、そりゃあ間違いだった。それだけじゃあ、名を上げることはできねェ
どんなに価値のある財宝を見つけたとしても、どんなに強ェ海賊と戦って勝ったとしても、ひとりきりじゃ、なんの意味もねェんだ……」
デュ「けっきょく、あの島に宝があるっつー噂はやっぱりただのデマだったんだな……」
エースは、視線をデュースに移し、不敵な笑みを浮かべる。
エース「どうかな……」
貴女「ししっ」
私はそんなエースを見て、微笑む。
エースは、デュースに手を伸ばした。
エース「いっしょに……来てくれるよな？」
するとデュースもまた、不敵な笑みを返す。
デュ「……お前といれば、いい冒険記が書けそうだ」
そして二人は、固く握手を交わした。
よかったね、エース……
ほら、やっぱまだいるんだよ。
エースの正体を知ってもなお、仲間になってくれる人、受け入れてくれる人が。
デュ「境遇は違えど、おれたちは互いに、父親について思うところがある者同士ってわけだ」
エース「越えていこうぜ……
波も、嵐も、運命さえも
そんでもって、ついでに父親もな!!」
同時に、エースの炎はより勢いを増し、船のスピードもぐんぐん速くなる。揺れも強くなる。
私達は船体にしがみついた。
船は真っ直ぐ波をかきわけ、海流を貫きながら進む。
船首が浮き上がったその刹那──
.
船は、海のアリ地獄のような海流を飛び越え、宙を舞っていた。
波飛沫は、太陽の光できらきらと輝く。
そんな中、エースは笑っていた。
胸を張り、堂々と前を見すえ──
無邪気な笑みを浮かべていた。
そうしてエースは、遥かな高みへと決意の言葉を口にする。
.
.
エース「海賊王を、越えてみせる!!!」
▼▽▼▽▼
エースの話が長くなっちゃいました……
でも、題名が『仲間の絆』なので書いてみましたw
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作者名：シルネ | 作成日時：2018年7月26日 15時
