悠仁ノ幼馴染【呪術廻戦】

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「頑張ったね」
「あ、りがとうございます……」

　子供の手当をしている横で、釘崎と悠仁がギャーギャーと言い合っている。 「怪我はないですか？」と声をかけたが、勢い良く「大丈夫よ!!」と一言返された後、再び悠仁に向き直ってしまった。
　これは延長されると察したので、子供に向き直り、体調に異常は無いかなどの確認をとる。

「お姉さん……」
「ん？ どうしたの？」

　不意に子供がおずおずと話しかけてきたので、視線を合わせて言葉の続きを待つ。

「きっ……綺麗ですねっ!!」

　顔を耳まで真っ赤にしながら、まるで一世一代のプロポーズの様に、一生懸命伝えようとしている姿に、頬が緩んだ。

「ありがとう。 嬉しいわ」

　子供がニッとはにかみ、二人して和んでいると、釘崎と悠仁がこちらに視線を向けては、きまり悪くなったのか、話題を切り替えた。

「俺もしこたま聞かれたけどさ、オマエなんで呪術高専来たんだよ」

　悠仁が疑問を投げかけると、釘崎は顔を一度伏せ、

「――田舎が嫌で、東京に住みたかったから!!」

　声を大にして、自身を指さす親指は、強い想いを物語っている様だ。 猛然な勢いで言葉にした釘崎に、悠仁はかなり衝撃を受け、口をあんぐりと開いていた。

「お金のこと気にせず上京するには、こうするしかなかったの」
「えぇ、収入は大事です」

　釘崎の言葉に更に上乗せする。 独り立ちをしたのだ。 流れとはいえ、高専で依頼を受ければ収入が入るということで、自分も親の負担を少しは減らせることに、安堵したことだ。

「そんな理由で命懸けられんの？」

　不安げに聞く悠仁に、釘崎は背中を向けたまま語った。

「――私が私であるためだもの」

　振り返るその姿に、彼女の名を頭に浮かべた。

――"釘崎野薔薇"

「素敵、とっても」
「……心臓に悪いわね」

　本心をそのまま言葉に表し、釘崎の耳に届いたが、眉をしかめて難し気な顔をされた。

「って、そういう意味では、アンタにも、Aにも感謝してる。 私が死んでも、私だけ(・・)生き残っても、明るい未来はなかったわ」

　目線を子供に合わせ、髪を優しく滑らせる釘崎。

「ありがと」

　釘崎の笑顔に、悠仁は頬を染め、視線を逸らしながら口を開いたが、釘崎が即座に叩きこんだ言葉により、悠仁の釘崎を見つめる眼差しは呆れたものとなる。

「ごめんなさい、釘崎さん。 悠仁は、お礼を言われて釘崎さんを……」
「Aさん！ お口チャーック!!」

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