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学長は手のひらを河童頭の人形に向けた。 すると人形はのそりと動き出し、宙に浮く。 そんな摩訶不思議な現象を――片目だけはハッキリと映し、もう片方の目は人形だったものから黒い靄に変化している。
(何なの、これは……)
考えさせる時間も与えずに、人形は悠仁に向かって突進していく。 私は左右で大きく見え方の違う現象に対応すべく、左目を閉じた。
「悠仁！」
危機一髪、悠仁は自ら背負っていたリュックを盾に、衝撃を軽減させた。 しかし、衝撃は人形の形をしているにも関わらず強かった。 悠仁に駆け寄ろうと足を動かそうとするが、誰かに腕を引かれた。
「っなに!?」
「Aはこっち」
「っ離して！」
「今は悠仁の番だよ。 それに……」
先生は後ろから私の体に絡みつき、身動きが取れないようにがっちりとホールドしてきた。
「な、にを！」
必死に抜け出そうと踏ん張るが、百九十を超えた背丈の男に、どう切り抜けられるか分からない。 悔しさで奥歯をぎりっと噛みしめると、耳元で「こっちで先生が、相手してあげる」と囁かれ、背筋がぞわっと、下から上まで電流の様なものが流れてきた。
「はっ……ぁ」
自分の声じゃない様な声が、口から漏れ出し、一瞬訳が分からなくなった。
「……僕、そんなつもりなかったんだけどな」
先生の力が一瞬だけ弱まったことを良いことに、後頭部から先生の顎めがけて打撃を与えようとするが、難なく躱されてしまった。
「ククッ……いいね、隙を作って攻撃しようとした点は、合格だよ」
「……先生、一体これはどういうことです？ 面接だとは思えないのですが」
「見てわからない？ 僕がAを口説いているんだよ」
「……教えて下さらないのですね」
「仮にも教師だからね。 悠仁と同じように、気づきを与えるのが教育だと思ってるよ」
何度も何度も抜け出そうともがくが、一向に解けない先生の腕に、段々力が抜けてくるのが分かった。
(どうすればいい、先生に何かしたくても、体が動かない。 力も、どんどん無くなっている)
(……もし、このままだったら、入学できない？)
(悠仁は、どうなるの？ 私は……私は……何のために、生きていけばいいの？)
――(お爺ちゃん、――約束です)
――(悠仁の彼女を連れてきます。 だから――約束です。 どうか、見守っていて下さいね)
勝手に交わした約束。 悠仁には何も伝えていない、私の――我儘。
「先生」
「ん？」
「――邪魔、しないで」
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クロワッサン(プロフ) - 猫助さん» たいっへん長らくお待たせいたしました(-_-;) コメントありがとうございます。 最新話更新いたしましたのでぐっすり眠れますね！！ (2021年4月28日 3時) (
レス) id: 9c7083b36c (このIDを非表示/違反報告)
猫助(プロフ) - 先が気になって気になって、夜しか眠れません…作者様、続きを…続きを…！（密かに応援しています。更新、ゆっくりお待ちしています！） (2021年2月27日 8時) (レス) id: b4292b3d94 (このIDを非表示/違反報告)
クロワッサン(プロフ) - 人形師さん» コメント遅ればせながらありがとうございます。 続きをお待ちいただいてありがたいです ^^) 嬉しいお言葉、ありがとうございます。 (2021年1月27日 15時) (レス) id: 9c7083b36c (このIDを非表示/違反報告)
クロワッサン(プロフ) - うたプリ大好き?さん» コメント遅ればせながらありがとうございます。 先を楽しみにして頂いて嬉しいです(*^^*) 作者かなりマイペースなもので…(^^; 気長にお待ちいただけると幸いです。 (2021年1月27日 15時) (レス) id: 9c7083b36c (このIDを非表示/違反報告)
人形師(プロフ) - 凄く面白いです！続きが気になります。応援してます！！ (2021年1月25日 4時) (レス) id: 0a38f0e1cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロワッサン | 作成日時：2020年11月19日 21時
