悠仁ノ幼馴染【呪術廻戦】

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釘崎が再び溜息を吐き、数分前と同じ言葉を畳語した。 悠仁は、そんな釘崎を見て不安を感じている。 そんな折、伏黒が先生に向かって問いかけた。

「これからどっかいくんですか？」

　伏黒の疑問に、先生は「フッフッフ」と、相手に気にならせる様な声を上げると、ここにいる四人の内、私含め三人をおのぼりさん扱いした。 特に間違っていない解釈なのでそのまま大人しく先生の言葉の続きを待つ。

「行くでしょ、東京観光」
「トウキョウ！ トウキョウ！ トウキョウ！ We Love Tokyo！」

　先生の誘惑の言葉を聞いた悠仁と釘崎は、息ぴったりに、一言一句間違えず、同時に喜びに満ちた声を上げていた。

(凄い……これを阿吽の呼吸って言うんだ！)

　内心感嘆の拍手を二人に送る私と違って、隣に佇む伏黒はとてもめんどくさそうに二人と先生を見ている。

「すごいですよね、息ぴったり。 まさしく阿吽の呼吸です」
「違ぇだろ」

　私の呟きを間髪入れずに反応を示す伏黒だったが、目の前で行先の競争候補を繰り出していた二人が、先生の静止の合図にピタリと口を閉じた。

「阿吽の呼吸……」

　心底めんどくさそうに、しかし、先程とは裏腹に「……そうだな」と答えた伏黒は、悟りを開いたような眼差しで、時の流れを静かに見守っていた。

＊

「いますね、呪い」

　廃ビルからは、禍々しい気配が漂う。
　伏黒の一言に鳥肌が立つが、大丈夫と心で復唱し、冷静に心を落ち着かせた。

　後ろで悠仁と釘崎が「嘘つきー!!」「六本木ですらねー」「地方民を弄びやがって」と嘆いていたが、この二人は何処に行っても楽しめそうだ。

「近所にでかい霊園があってさ。 廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ」
「やっぱ、墓とかって出やすいの？」

　釘崎と共に落胆していたのが嘘のように立ち直った悠仁は、先生に質問をしていた。 釘崎は今だ後方で地団太を踏んでいる。

「墓地そのものじゃなくて、墓地＝怖いって思う人間の、心の問題なんだよ」
「あー学校とかも似た理由だったな」
「呪いの的ってことね」

「ちょっとまって、二人そんなことも知らないの？」

　私と悠仁が納得の相槌を打っていたら、伏黒が事の顛末を釘崎に語ってくれた。 話を聞き終えた釘崎が目をひん剥いて、

「飲み込んだぁ!? 特級呪物をぉ!? きっしょ!! ありえない!! 衛生観念キモすぎ!!」

(キモ……かったんだ)

　私は長らく悠仁と一緒に居たことで、若干感覚がマヒしていたのだった

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