変わる世界2 ページ7
「ほら、言ったでしょ。」
「伝え方ってもんがあるでしょうよ。」
なぜか涙が出ない。
母があの時死んだ??
あの一瞬で一体何が起こったのだろう。
プツンと私の中で何かが切れた。
鮮明にあの瞬間のことを思い出そうとする。
しかし、何度考えても思い出せるのは水風船が弾けたような生々しい音と臭い。そして、真っ赤な風景に佇む白髪頭の男の人だけ。
そう、この私に母の死を淡々と告げた男。
あの私をぐずぐずに濡らした液体が、母、またはその他の人たちの血だとするなら、なぜ私が生きているんだろう。
白い部屋、白いベッド。汚れた形跡の一つのない患者衣を纏う一点の汚れも見当たらない体。
あれから何日が経ったのだろう。
この人たちはなんなんだろう。
ここはどこなんだろう。
頭は至って冷静で、そんな疑問が次々と浮かんでくる。
ベッドに座ったまま、私は白い布団を一点見つめ、さまざまな思考を繰り広げた。
そのすぐ隣で男女は真剣な面持ちで話し合っている。
しばらくして、男の方が私に声をかけた。
目元は見えないが、私の目を見て話していることは自然と読み取れた。
「Aちゃん。君はこれからどうしたい?」
え……?
聞き返そうとしたはずが、うまく声が出ない。
口は間抜けにパクパクと動くものの、発声は認められない。
「敵討ちを不毛って言う奴もいるけど、俺はそうは思わないね。」
男は続ける。
「あの日君のお母さんを殺したのは人間じゃない。僕らはその点で言うプロだよ。」
人間じゃない?
突拍子のない発言に耳を疑う。
しかし、男が嘘をついてるようには見えず、私は静かに男の次の言葉を待った。
「その中でも特に最強なのが僕なんだけどさ。
どう?僕らに賭けてみない?」
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ゆうき(プロフ) - 時さん» すごく嬉しいです。ありがとうございます。時さんも更新頑張ってください。いつでもコメント欄いらっしゃってくださいね。 (2021年8月6日 11時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
時(プロフ) - コメント失礼します!最初で一気に惹かれました!続きを楽しみにしています!無理せず更新頑張ってくださいね! (2021年8月6日 11時) (レス) id: 65803b71a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ラリマさん» コメントありがとうございます。凄く嬉しいです。優しいお言葉感謝します。ラリマさんも体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。作品の方にもお邪魔させていただきます(p_-) (2021年8月6日 0時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
ラリマ(プロフ) - コメント失礼します! 続きがすごく楽しみです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: 3c461fe813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2021年8月3日 22時