特別扱い ページ31
日がちょうど真上に差し掛かる頃、息も絶え絶えな釘崎、Aの2人。
そしてそれを見下ろす真希と伏黒の2人。
Aはというと、釘崎の半分も走っていないうえ、グラウンドに横たわり息をするだけでいっぱいいっぱいになっている。
こんなに自分が体力ないなんて…。
他の生徒と自分の差を嫌というほど感じ、そもそもの体の造りを疑うほどだった。
「かーっ、そんなんでへばっててどうすんだよ。」
「きついっすー。」
釘崎も、Aの真似をするかのようにグラウンドに横たわる。ひんやりとした地面の感触が、上気した体の熱を奪い気持ちがいい。
苦言を漏らしながら真希も地面に座り込み、伏黒も同様に動いた。真希は、息も絶え絶えのAの背中に手を置き呼吸に合わせてさするような動作をした。
この人怖いし言い方きついけど優しいなー。
背中から元気を与えられるような、そんな感覚を覚えた。
「真希さんってAさんに優しいですよね。」
「はぁ??」
伏黒の一言に、真希は心底嫌そうな顔を見せた。釘崎も横たわったまま静かに頷く。
あ,やっぱり私優しくされてるんだな。
ふざけんな、と騒ぐ真希を横目に、Aはそんなことを思い嬉しい気持ちになる。
「私がどうこうってより、Aに一番目かけてんのは五条だろーがっ。」
真希のその一言で、Aは会話の風向きが変わったことを察知した。不思議なことに、伏黒と釘崎の注目は一気に五条とAの関係性に集中し始めた。特に釘崎は上体を起こし、明らかに食い気味であった。
「やっぱり真希さんも思いますよね!最初っからなんか先生の態度とか行動とか。なんか女の勘ってやつですよ!」
「俺も最初は釘崎の暴論かと思ってましたけど、なんかやけにAさんに構うんすよね、先生。」
「面白がって変な術師拾って保護活動みてーなことは毎回してるけど…。なんかあんの?A」
一斉に視線はAへ注がれる。横たわったままのAは恥ずかしくて仕方なく、顔を上げることができなかった。
「おい、どーなんだよーっ。」
釘崎がAの脇腹に人差し指で突こうとした時だった。
「よってたかって新入生をいじめるとは、良くないぞ〜」
声の主は、ちょうど話題の中心人物だった。
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ゆうき(プロフ) - 時さん» すごく嬉しいです。ありがとうございます。時さんも更新頑張ってください。いつでもコメント欄いらっしゃってくださいね。 (2021年8月6日 11時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
時(プロフ) - コメント失礼します!最初で一気に惹かれました!続きを楽しみにしています!無理せず更新頑張ってくださいね! (2021年8月6日 11時) (レス) id: 65803b71a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ラリマさん» コメントありがとうございます。凄く嬉しいです。優しいお言葉感謝します。ラリマさんも体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。作品の方にもお邪魔させていただきます(p_-) (2021年8月6日 0時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
ラリマ(プロフ) - コメント失礼します! 続きがすごく楽しみです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: 3c461fe813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2021年8月3日 22時