初仕事4 ページ23
「何かおかしい。」
工場内を歩き回っていると、突然伏黒さんが立ち止まり、そう言い放った。
「何がおかしいんだ?伏黒。」
「良いから黙って歩きなさいよ。」
工場に入ってから20分ほどか。
現状ただの工場散策になっており、特に私が恐れていたような事態は現れない。
「いいことに気付いたねー、恵。」
私のそばに居た五条さんは不敵な笑みを浮かべ、みんなの注目を集めた。
伏黒さんはどこか納得のいかないような顔をしている。
「なに?何がおかしいの?」
「どう考えてもおかしいだろっ!複数の呪霊が目撃されてるって言ってんのに一匹もまだ現れてないんだぞ。」
まるで状況を掴めない私たちに伏黒さんは一喝するようにそう言った。
「まあまあ、恵ー。
そのうち出てくるよ、活きの良いのがさ。」
「‼‼」
イライラと落ち着かない様子を見せる伏黒さんに、五条さんが宥めるように声をかけた瞬間。
五条さんと私以外の3人は、何かに警戒するようにその身をかがめ真剣な眼差しで周囲を見渡し始めた。
3人の様子が突然変わったため、私も思わずその身をかがめた。
これが、空気が重く澱み息が苦しくなるような、言葉に言い表し難い"嫌な気配"というやつだ。
「ほぉら。噂をすれば。」
五条さんはそばにいた私の肩をがっしりと抱き寄せ、口角をあげてそう言った。
その私たちの後ろにはまるで潰れた蛙のような、私たち人間より二回りほど大きな化け物が黒く染まった壁を裂くようにして現れた。
あまりのその異様さに私は目を見開き、五条さんから逃げるようにその肩を掴む手を引き離そうとした。
あまりの恐ろしさに落ち着いてはいられない。
「みんな、動くなよ。」
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ゆうき(プロフ) - 時さん» すごく嬉しいです。ありがとうございます。時さんも更新頑張ってください。いつでもコメント欄いらっしゃってくださいね。 (2021年8月6日 11時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
時(プロフ) - コメント失礼します!最初で一気に惹かれました!続きを楽しみにしています!無理せず更新頑張ってくださいね! (2021年8月6日 11時) (レス) id: 65803b71a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ラリマさん» コメントありがとうございます。凄く嬉しいです。優しいお言葉感謝します。ラリマさんも体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。作品の方にもお邪魔させていただきます(p_-) (2021年8月6日 0時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
ラリマ(プロフ) - コメント失礼します! 続きがすごく楽しみです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: 3c461fe813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2021年8月3日 22時