いつもと違う朝2 ページ2
「お母さん行ってくるよ」
凄まじいスピードで用意を済ませ、玄関で靴を履きながら、私はダイニングにいる母に声をかけた。
「ねぇちょっと。」
「なに」
ダイニングからひょこっと顔を出したり母に呼び止められ、スマホの時間を見ながら母に無愛想に返事をした。次の電車に遅れたら、もう後がないのだ。
「最寄りの駅、事故があって遅延してるみたいだけど」
「はぁぁぁぁあっ!!?」
母には非がないが、このタイミングであることに腹立たしさを覚え、また母に怒りをぶつけてしまった。
母が喋り終わるのを待たずに私は大声で叫んだ。
「なんでよりによって!!」
普段、大雨があったり台風が近づいていて他の線路が止まっていても空気を読まず頑張って動いている電車がこの際に限って遅延が起こっていることに納得できず、イライラを露わにさせた。
「ちょっとやめてよー、私が悪いわけじゃないんだから。どうせ遅れるならゆっくりしていけばいいじゃないの。」
母は能天気にそう言って、再びダイニングに入った。
母もこの後仕事があるのだが、車で行くため電車の遅延は母にとってなんの問題にもならない。
私はというと、今日は朝から英語の小テストがあり、内申点といった進学に関わる大事なものを今逃そうとしているのだ。
遅延といえど、遅刻。ここにきて無遅刻無欠席の夢が閉ざされるのである。
「ねぇ、お母さん学校まで車で送ってよ。」
「いうと思ったわ。お母さんまだ用意終わってないから15分待ってくれるならいいよ。」
「っしゃ」
これが遅刻しない最後の鍵である。
母にはいつもより早めに家を出てもらうこととなるが、 そんなことはおかまいなしに、私は小さくガッツポーズをした。
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ゆうき(プロフ) - 時さん» すごく嬉しいです。ありがとうございます。時さんも更新頑張ってください。いつでもコメント欄いらっしゃってくださいね。 (2021年8月6日 11時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
時(プロフ) - コメント失礼します!最初で一気に惹かれました!続きを楽しみにしています!無理せず更新頑張ってくださいね! (2021年8月6日 11時) (レス) id: 65803b71a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ラリマさん» コメントありがとうございます。凄く嬉しいです。優しいお言葉感謝します。ラリマさんも体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。作品の方にもお邪魔させていただきます(p_-) (2021年8月6日 0時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
ラリマ(プロフ) - コメント失礼します! 続きがすごく楽しみです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: 3c461fe813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2021年8月3日 22時