不遜 ページ10
「美々子、奈々子。新しい家族だよ。」
Aが夏油に連れられてきたそこは大きな寺だった。
盤星教…?聞いたことあるようなないような…。
本堂をくぐり、広い廊下で待っていたのは2人の女の子だった。
年端もゆかぬ少女の名はそれぞれ美々子、奈々子と言った。
「ね!東京生まれ、東京育ち?」
「芸能人って見たことある?」
え、えっと…。
2人は東京へ憧れを持っているのか初対面であるAに質問で攻め立てる。
「そうだ。」
2人の猛攻に戸惑うAを見兼ねた五条が丸い球を取り出した。
中は黒く蠢き、禍々しい様がうかがえる。
「意思疎通が取れないのは手間だろう。こいつを使えば良い。」
「キッ」
そう言って五条は、球から黒い毛皮の小さな猿を取り出した。
その猿は、地面へ降り立つと小さく鳴き、Aを見つめた。
『かわいい…。』
えっ。
『えっ。』
Aは自分の考えを口にする、人語を話す猿を見て口を抑えた。
「かわいい!お猿じゃん!」
「気にいったかい。こいつは覚(さとり)。人の気持ちを読み取る呪霊だよ。話したいことがあればこいつを通して伝えれば良い。」
奈々子が覚を抱き上げると、覚は大人しくその胸に収まった。
黙っていればただの小さな猿にしか見えないそれは誰の目にうつっても愛らしかった。
「かわいぃ〜っ!Aずるいっ!こんな可愛い呪霊なら大歓迎だよ〜っ!」
「奈々子っ、私にも触らせて。」
『私も触りたい』
「ははっ、君が触ったら死んでしまうよ、こんな小さな呪霊。」
後々聞けば、覚は呪霊の中でも珍しいものだったらしい。
Aは愛らしい相棒に触れない自身の術式を惜しみながらも、自分の意思が人に伝わる感動を感じた。
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時