俗界3 ページ6
高専周囲の林を駆けながら五条は微かに残る残穢を追っていた。
僅かだが僕なら見える。
脳裏にはAの笑顔や、今までの思い出が巡り始める。まさか、こんな形で別れることになるのか。
気配はだんだん強くなっていく。
ざぁぁ…
風が吹き荒れ、辺りの木々を一斉に揺らした。隙間に見える大小二つの影は五条を待ち受けるかの様に立ち並ぶ。
「彼女を返せ。」
「こら悟。この子は物じゃないよ。」
林の開けた場所で、夏油は待っていた。その手にはAの肩が握られている。
Aは特段怯えた様子でもないが、五条と夏油の様子を見て混乱しているようだった。
「Aちゃん、君の彼氏が迎えにきたよ。」
夏油は、顔を赤くして首を激しく横に振るAを涼しげな顔をして見つめた。
「悟にこんな可愛らしい恋人ができたなんて感慨深いね。」
「分かってんなら軽々しく触るなよ。」
五条はそう言い放つと手印を結び、その途端周囲の風が止んだ。
「やめてくれないか、悟。これじゃ私が誘拐犯みたいじゃないか。これは彼女が望んだというのに。」
「は?」
「そうだね?A。」
五条はAを見た。そこには、気まずそうな顔をしながら小さく頷くAの姿があった。
五条は現状を理解できず、広く展開していた無下限を収縮させた。
「悟、僕たちは以前から知り合いだったんだよ。」
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時