拮抗3 ページ33
「まさか君一人で私を説得しにきたわけではあるまい。
目的は内部の視察…それとも君は囮といったところかな。」
「！！」
釘崎達は大丈夫なのか！？
耳を澄ますが、扉の外が騒がしい様子はない。
空調の整った室内で、伏黒は背中に嫌な汗を感じていた。
膝の上で拳を握りしめる伏黒の前の袈裟姿の男は口角を上げて次の一手に期待しているような様子を見せる。
「君、もしかしてAのこと好きなの？」
挑発するような夏油に、伏黒は歯を強く食いしばった。
「あんたに関係ないだろ」
伏黒と、その様子を楽しそうに眺める夏油。
しかし、余裕そうに頬杖をつく夏油は更に伏黒は追い討ちをかけていく。
「ふふ、青春だね。そうだ、君は知ってるかな。」
夏油はゆっくりと右手の指先を動かして、伏黒の目線を誘う。それはゆっくりと夏油の胸に当てられ、指先は胸のすぐ隣を指し示した。
「Aってここに可愛い小さなほくろがあるんだよ。」
ま、知らないけどね。
夏油が怪しい笑みを浮かべた瞬間、一見穏やかに見えていた雰囲気は突然禍々しい殺意へと変わった。
それは数々の任務で戦闘経験を培っている伏黒でも、思わず体が危険信号を打ち鳴らす圧倒的な力量を示した。
「ーーーっ！！！！」
何がなんでもこいつの側には居させない！！！！
あまりの殺気に駆り立てられ、怒りが助長して勢いよく立ち上がった伏黒。
自分でも無意識のうちに体は戦闘体制に入る。
まるで心臓を直接握られているようで、気道が狭まり掠れた笛のような呼吸が喉から漏れた。
最悪…俺には最後の手がある。
勝てなくても虎杖達の逃げる時間くらいは…
「待ちなさい。」
玉犬を顕現しようとした時、夏油は伏黒に声をかけ、それを制止した。
先ほどまで放たれた強い殺気は消えたが、伏黒の警戒心はまだ解かれない。
「その術式、君は禪院家の子か。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (
レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうき | 作成日時：2023年12月15日 18時
