辛酸5 ページ28
『ど、どうかな。あんまりないかも…。』
口元に手をやり悩ましげな表情を浮かべるAに夏油が驚いた様子を見せた。
「ほぉ、そんなにも君は特別なのかな。」
『えっ？』
夏油は呆気に取られるAの頬に、熱いゴツゴツした手を触れた。
『なっ、ななななっ、なっなっ、』
顔に熱が上り、身動き取れずにいるAの顔を夏油がじっと見つめる。突然の出来事に、頭が真っ白になり、まるで壊れたラジオのように、Aのパニックが止まらない。
「ふふっ、あいつが気に入ったのはそういう素直なのところなのかな。」
夏油がそう言って笑うと、さっきまで目を回していたAは途端に落ち着きを取り戻した。そして小さな声で話す。
『いえ…。ここにくるまではずっと筆談だったから…。素直さとか…そんな自分を表現できるほど、五条さんと話せてないんです。』
「そうなんだ。それなら悟といる時は2人とも静かにしてるのかい？」
『いや、五条さんの単独トークです。』
「それは…ストレスだろ。」
夏油は、脳内に一方的に話し続ける五条と、それを静かに聞き流すAの姿を想像した。するとAが不憫で仕方なくなった。
「あいつは口も性格も悪いし、ろくでもない話しかしなかっただろう。」
『え？五条さん口悪くないですよ。優しいし。分からない話されること多いけど、そんな変なこと言われたりとかないです。』
「は…？」
『誰かと間違えてるんじゃないですかね。』
思考がついていかず固まる夏油を尻目に、Aは弁当のおかずを口に運び黙々と食べ進めている。
「本当に五条悟の話してるよね？」
『私が騙されてない限り。』
「あの白い？」
『はい。』
「俺様の？」
『違いますって。』
「じゃあどんな？」
既にお弁当を片付け始めているAは、夏油の質問に戸惑う様子を見せた。動きを止めて俯くAとは裏腹に、覚がペラペラと話し始める。
『守ってあげたくなるような…ふがっ！』
凄まじい勢いで覚の口を押さえ込むA。その顔は真っ赤になっていて、目線は覚を睨んでいる。
かと思えば、視線は夏油は向き、気持ち乱暴に覚を肩に乗せると徐に立ち上がった。
『先訓練始めてますから！』
そう言って駆けていくAの背中を目で追う夏油。開きっぱなしになっていた口を閉じ、その口角が歪んだ。
小さくため息をつき、誰に伝えるつもりもないが、一人「羨ましい」と口にした。
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (
レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうき | 作成日時：2023年12月15日 18時
