辛酸2 ページ25
『おぇっ。おぇえええぇ。』
「防御が甘いね。呪力を混ぜた拳は効くだろう。」
夏油は高らかに笑った。
目の前には、地面に膝をつき、太い木の幹にもたれかかり嘔吐する少女。と、乾嘔く猿。
覚…!こんなの言語化してくれなくていいから…!
そう思いながらも、せめて夏油には見えないようにと背中を向けて腹の中のものを木の根にぶちまける。目覚めてまだ何も口にしていない訳で、口の中は不快な酸味で満たされる。
体の傷は修復できようとも、芯に響くように放たれた打撃の痛みは抹消まで侵す。痺れるような苦痛と湧き上がる腹部の不快感に、Aは立っているだけでもいっぱいいっぱいだった。
「さ、休憩したいならするけど、どうする?」
傷一つない身綺麗な夏油は、愉快そうに目を細め、Aの返事を待っている。訓練を始めてこの方、夏油が息を切らすところも見たことはない。しかし、今日のAは今までとは違っていた。
双子からエールを送られた(と思っている)Aの心の炎はより火力を増していた。
私,この人嫌いかも。
出し切り空になった腹を押さえ、Aは夏油を睨みつけた。
『まだ!まだやれます。やりましょう。これくらいどうってことありません。休憩はそれからです。』
「はは、師として鼻が高いね。」
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時