懐古3 ページ3
「振られた?」
「振られてねェよ。」
五条は不機嫌な顔をして答えた。
医務室でコーヒーを啜る家入は、その返答に首を傾げた。
「祝福できるような雰囲気には見えないけど。」
五条は黙った。
どかっとソファに座り込み、小刻みに膝を揺らす。その長い足でみせる貧乏ゆすりは家入の目に、より煩わしく映った。
「僕って格好いいよね。」
「は。」
「ほら、僕って子供の頃からちやほやされて育ってるじゃん?ルッキングは今でも変わらず完璧だし、最強だし、お金持ちだし……。」
「はあ。」
真顔で話すことかよ。
ふざけてんのかこいつは。
「……だからかな。Aの気持ちがわからないんだよ。」
普段見せない真面目な顔で、五条は俯いた。長い指が顎に添えられる。
よほどこっぴどく振られたのか、珍しく落ち込んでいる様子だった。のこのこ帰ってきた五条をからかうつもりでいた家入は肩を落とす最強をただ眺めていた。
手元のコーヒーは、口をつけられることなくそこで水面を揺らす。
「まさかこの歳になってオマエの恋バナに付き合わされるとはな。」
家入がそう言って、コーヒーをテーブルに乗せようとした時だった。
ーーーーピンッ
結界が、
「五条!」
家入が言うが早いか、五条は部屋を飛び出した。立ち上がった時に長い足で蹴飛ばされたテーブルの上では完飲されなかったコーヒーが床へと水滴を落としていた。
106人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時