誤審4 ページ18
呪力を練っては打ち出す。練っては打ち出す。
元々一般人だったAにとってそれは容易いものではないが、かつて五条から渡された八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)がそれを可能にしていた。
戦うとピアスが熱いな…。
受けやすい他者の呪力。多大で抑え込むことが難しい自身の呪力。世間でいう普通の人が悪影響を受け、抑えきれず破壊者と変貌するであろうそれを、細く一定に保つ機関を八尺瓊勾玉が担っていた。受けるのも出すのも数々の任務についてきたAにとっては難なく戦闘に役立てることができていた。
” 打神鞭(だしんべん)”
練り出す呪力を紡ぎ、Aは熱く長い鞭を編み出した。
それは呪力を物理として生み出す命をも削る作業。
しかし呪力を吸収、蓄積させることができるAはそれを無傷で可能にすることができた。
「術式構築だね。それを平気な顔をして出す胆力は末恐ろしいね。」
パァンー
……パァンッ
鞭とは先端が細くしなやかな形状をしている。そのため手元での波打つ運動や回転運動が先端に伝達するにしたがって運動部分の質量が減るため加速され、最後に先端部分が跳ねるように返る瞬間に音速を超える。生み出されたソニックブームはAの周辺の空気すらも揺らし、呪霊のみならず全ての生物を威圧した。
「いいね。武具を扱う素質もあるみたいだ。」
真希とこってり訓練を繰り返していたAは、いとも容易く6メートルもある鞭を扱い、その先端までも自身の四肢のように振るった。
走り出す。
息を整え、鞭を体に巻きつける。
離れていた夏油とAの間合いは一瞬のうちに失せ、Aは夏油の足元へと鞭を薙いだ。
体に巻かれていた鞭は夏油の足目掛けてその細い体を回転させ、素早く線を描く。
パァンーッ
しかし、生じた音速の先に夏油の姿はなく、Aの頭を何かがすっぽりと覆った。
「遅いね。」
その瞬間、振り返ったのが早いかAはこめかみに凄まじい力を受け、気づいた時には木に体を打ち付けていた。
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時