不遜5 ページ14
1人用の敷布団の上に女子高生が3人。
3人とも小柄とはいえ、端の2人は肩や腰がずれ落ちる。
真ん中のAはぎゅうぎゅうに押し込められ、その状況すらも愉快な3人はケタケタと笑っていた。
部屋の電気を落とし、こそこそ話を交わしたりなどして過ごす時間は先ほどの心細い時間が嘘だったかのように、室内を暖かく包んだ。
ひとしきり会話の弾んだ後は自然と3人とも静かになり、もうそろそろ眠りに落ちるかという頃、美々子が口を開いた。
「Aは五条悟と恋人なの?」
『えっ?』
閉じかけていた瞼を開き、Aは上半身を起こした。
両脇にいる2人も軽く頭を起こす。
「ちがうの?」
『ち、ちがうよ、てか、五条さんと知り合いなの?』
「私たちは話したこともないよ。でも、夏油様とは親友だったって。」
『へ!』
時計の短い針は一時を指している。
思わず出してしまった大きい声に、Aは覚の口を塞いだ。
『それ本当なの?』
「夏油様が言ってたんだよ。でも喧嘩してそれっきりだったってさ。」
じゃああの時感じた殺気は気のせい?
いや、そんな平和な感じじゃなかったよな。
私が誘拐されたみたいになってるのかな。
やば、勘違いさせてしまってるかも?
『にしてもなんで恋人だと思うのよ。』
「それも夏油様が言ってたんだって。悟の恋人って。」
話が一体どういうふうにねじ曲がってしまっているのか?
Aは少しの嬉しさと、恋人と思われていることに五条への申し訳なさを感じた。
『五条さんは事故に巻き込まれた私を不憫に思ってくれてるんだよ。私は釣り合うような人じゃない。』
「私たちも夏油様に助けられた。私たちの大好きな人。家族だよ。Aにとっても五条悟はそういう人でしょ?」
美々子が言った言葉に、沈黙するA。
美々子達の言う夏油への感情が詳しくどういったものかは分からないが、自分が五条へ抱いている気持ちには前から薄々分かっている。
ただ、それを心の外へ漏らしてしまって、後悔する日が来るのではないかと胸の内に秘めていた。
Aはしばらく黙った後、もう一度布団へ潜り込んだ。2人が自分のこたえを待っているのを感じ、布団を頭まで引っ張り上げた。
『うん、好きだよ。大好き。』
布団でくぐもった声でも、それは美々子と奈々子の耳にはっきり伝わっていた。
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時