懐古2 ページ2
(どういうことですか)
(ニュースではなんて報道されてたんですか)
(あれは人の仕業なんですか)
(ちゃんと答えてください)
2人は高専へと戻っていた。
意識の戻ったAはメモ帳に次から次へと殴り書きをしていく。
「情報操作だよ。実際は呪霊や術師の事故でも、報道するときはそれを隠してるんだ。」
明らかに動揺するAに、五条は優しい口調でそう言った。
まさか、あの高校で他にも被害者がいたなんて…。実際はあれは呪霊の力のはずで、私は…私だけは生き残ってしまっていて…。
口元を手で抑えAは、どうにか落ち着こうとした。そして、また一息ついてはペンをメモ帳の上で走らせていく。
(今日はどうしてあそこへ？)
「これは僕の個人的な意見だけど…
君には好きなように生きてほしい。あの事件に巻き込まれるまでは普通の女子高生だったんだ。」
Aは、五条の思いに、胸が締め付けられるようだった。ああ、この人はここまで考えてくれるのか。
五条は続けて話す。
「君にはまだあっちの世界に君を心配したり、思い出を分かち合える人がいる。またあの高校に通ってもいい。本当にそうしたいなら僕がサポートするよ。」
(どうしてそこまでしてくれるんですか。)
Aの質問に五条は一瞬たじろぐ。
言うか言うまいか悩んだのか、沈黙ののちに五条は口を開いた。
「君に何かを諦めてほしくない。君が本当に望むことをしているのを僕がこれからも見ていきたいんだ。」
どうしてこの人は…。
高専へ来てから数ヶ月。
話せないAのもとへ足繁く通っては、時には一方的に話し、時には黙って、常にそばで寄り添い続けた。
辛いはずの事故の後で、不安になる暇もないくらいに、五条はAの心を埋めてきた。そんな相手に好意を抱くのに時間はそうかからず、既にAにとって五条の存在は不可欠であった。
そんな相手からの言葉に胸が高鳴らないわけもなく、頬は赤みを帯びて、その潤む瞳は、サングラスで隠された五条の瞳を捉えて離さない。
「僕が守っていくから。僕のそばで君は自由に生きて。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (
レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうき | 作成日時：2023年12月15日 18時
