悪魔【25】 ページ26
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五条さんから告げられていた私への気持ちは“悪魔の囁き”のようだと走りながら思った。
好きだの何だの伝えてその気にさせれば、勝手に相手から堕ちてくれる。自分は、それが深く浸透するまで待ち、暫く経ってから手を伸ばせば相手は簡単にその手を取るのだ。
今までに、どれだけ酷いことをされても、愛やら恋やらの感情のせいで全てがどうでも良くなって、「あんな時もあったな」と酷いことさえ思い出に出来てしまう。
私がそのいい例だ。
『……はぁ、…はぁ』
医務室から校舎の端っこまで全力疾走したせいか、もう数年したら三十路を迎える身体が悲鳴をあげたので、近くの壁に背を預けてそのままズルズルと下がり、地面に腰を下ろした。
追いかける気がないのか、追いかけても今は無駄だと判断したのか、五条さんがこちらに来る気配は感じない。
良かったと安堵する反面、所詮そんなものか、と1ミリ程期待してしまっていた部分で落胆する。
アホか、自分。
何期待してるんだ。
相手はあの五条さんなのに、期待するなんて。自分の事が好きなら追いかけてきてくれるんじゃないの?って自惚れるなんて。
『……恥ずかしいやつじゃん』
私は、更に自分が情けなくなって、誰なの目につかない場所にいることをいい事に膝に目を押し付けて静かに泣くことにした。
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すおりん - はい、もう……好きです 更新頑張ってください!応援してます (2020年4月3日 9時) (レス) id: 84d164d6bd (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - 新作待ってました!nakiさんが書く先生かっこよすぎて推せます!大好きです! (2020年3月28日 14時) (レス) id: 200233cfbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:-naki- | 作成日時:2020年3月28日 8時