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曲が終了した直後、イデアは凄まじい速さで壁際に移動すると、ぜぇはぁと荒い息を吐き出しながら、壁に凭れ掛かって水を一気飲みした。
｢一週間以上の気力を使い果たした……｣
｢一曲で大袈裟ですねぇ｣
｢A氏はいい加減、自分の顔面偏差値を理解するでござる！！｣
自己肯定感が低く、他者からの見た目の評価など微塵も気にしていないAに言っても無駄な話である。
先程から他校生徒だけではなく、ナイトレイブンカレッジの生徒達からもイデアには嫉妬、Aには羨望の眼差しが送られてきているというのに全く気にも留めていないのだから。
他校生はまだ良いが、問題のなるのは彼女と距離感の近い面々だ。
この後にAと踊ることが決まっているラギーを含め、彼らはAと二人きりになれるタイミングを虎視眈々と狙っているのである。
｢……ねぇ｣
｢はい｣
｢さっきの言葉、凄く嬉しかったんだ。僕がシュラウドだって知っても一緒に居てくれて、オルトのことを聞かないでくれて、僕の心に寄り添ってくれて。A氏には感謝してもしきれない｣
｢そのようなつもりは――｣
｢知ってる、君が意識して行動してないこと位はね。だけど、それに僕もオルトも救われてるんだ｣
ほんのりとイデアの頬が赤みを帯び始め、金色の瞳が行ったり来たりしていることで、彼がひどく緊張していることが分かる。
常日頃から己に本心を伝えてくれるイデアだが、こう改まって言われると、何だか聞いていて照れ臭い部分があった。
｢僕の人生で最大の幸せは、オルトが生まれてきてくれたことと……それと、A・Aっていう女性と出会えたこと｣
｢随分と過大評価をしておられませんか｣
｢してない、するわけない。だからね、僕は君のことが――｣
｢はーーい！！ そこまでっス！！｣
イデアにとっては良い雰囲気、しかし己にとっては悪いことが起きていると野生の勘が働いたラギーがAの後ろから現れ、彼女の体を軽々と横抱きにした。
いきなり現れたラギーに対し、イデアは目を真ん丸に見開いて硬直し、次第に顔を真っ赤に染め上げていく。
まるで林檎の様な顔の赤さをしている彼をAが見上げていれば、ラギーの大きな掌によって目元を覆い隠された。
｢シシシッ……悪いっすけど、Aは俺がもらっていくっスよ｣
｢なっ、なんっ、ウッ……きか、聞かれ！？｣
｢途中からっスけどね。ってことでさよなら〜｣
その格好のまま、Aはメインホールの真ん中へと運ばれた。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
