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桜の花弁だけを残して消えてしまったAを探す彼らの顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡れていた。
だがしかし、先程までのように校内を隈無く探し回ったものの、彼女の姿が見えないどころか匂いすらしない。
Aが花弁となってしまった中庭へと戻ってきたフロイドは、ぼろぼろと大粒の涙を零しながら彼女の名前を悲痛な声で呼び続けていた。
ジェイドの笑みは消え失せ、アズールの表情は読み取れず、ケイトの笑顔は歪んでおり、一年生組にも何時もの様な活気は存在していない。
｢Aちゃっ、どこぉ……！｣
芝生をぎゅっと握り潰しながら、もう二度と会えなければ、声を聞くことすら出来ない彼女の名前を呼んだ次の瞬間、誰も彼もが目を見開いて硬直した。
｢此処におりますよ｣
｢どうしてこんなにも辛気臭いんですか？ というかリーチくん、君は何故泣いているんです？｣
何故ならば、消えてしまった筈のAがクロウリーと共に立っていたからだ。
きちんと足もある為に幽霊ではないし、魔法で彼女の映像が流されているわけでも、分身が作成されているわけでもない。
正真正銘、本物のAAその人である。
｢……へ、Aちゃ？ ほんとに、何でっ、さっき消えちゃったんじゃ……！｣
｢何故、と問われましても私は確かに此処に存在しておりますし、元の世界に帰ってもおりませんよ｣
｢じゃっ、じゃあ！ さっきのAは誰だったんだい？｣
｢あぁ、あれですか。あれは私が霊力で作り出した分身体でございます｣
｢何でそんなことをしたんですか！ 僕達は本当に貴女が消えてしまったんだと思って……！｣
泣きそうなリドルとアズールに詰め寄られているAだが、何故そこまで自分が責められているのかが分からず、きょとんと首を傾げた。
全員から説明を求められた為、彼女は簡単に分身を作り出して、それを日常に紛れ込ませていた理由を説明し始める。
＊＊＊
事の発端は二日前。
常に付喪神と共にいることによって"神"という存在に対して耐性を持っているAだけが、その日とある異変を感じ取った。
｢この学園に異質なものが紛れ込んでいる、ということですか？｣
｢ええ、それは神であって神でないモノ。神を創り出そうとして失敗した怪物か、はたまた神が戯れで産み落とした異形なのかは分かりませんがね｣
クロウリーでも感知出来ないソレに対処すべく、先ずAはソレが誰を獲物と定めるのかを霊力を駆使して探ったのである。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
