Request：孤独ではないグルメ ページ43
出会いは厨房。
空腹を訴えるカリムの為に軽食を作りに来たジャミルが、Aが明日の弁当の為に作っていたおかずに興味を持ったのが始まりである。
ちらちらとバレないように視線を送っていたようだが、Aがそれに気が付かないわけもなかった。
｢……あの、何か｣
｢あ……いや、何でもない｣
何度も何度も頻繁に見られれば、流石のAも煩わしく感じてしまう。
何用かと尋ねたのだが、視線をうろうろと彷徨わせた後にジャミルは小さく否定の言葉を口にした。
それならばもう用は無い、と言わんばかりにAが顔を背け、肉じゃがに味を染み込ませる為にコトコトと煮込み始めたところで、またしても視線を感じたのである。
それでも素知らぬ振りを続けていれば、今度は彼から声を掛けられた。
｢その、すまないが……｣
｢はい｣
｢見ても、良いか？｣
｢どうぞお好きに。先程のように変に見られていては堪りません｣
｢ウッ｣
＊＊＊
こういう経緯でジャミルと知り合い、料理を通じて親密度を上げていき、更にはカリムとも接するようになったのだ。
警戒心が強く、"大食堂で出される食事か自分が作ったもの以外は食べるな"と口を酸っぱくして注意しているジャミルなのだが、Aお手製のものならば食べても良いと許可を出している。
どうやら彼、自身と同様に身分の高い者に仕えているAに親近感を抱いたらしい。
｢うまーい！！！｣
｢うん、美味いな。これは何て言う料理なんだ？｣
｢それは豚肉の生姜焼きです。カリムさんが食べておられるのは胡瓜の浅漬けです｣
ジャミルの作った熱砂の国の料理と、Aの作った日本食がスカラビア寮の談話室に所狭しと並べられている。
豪快に食べ進めていくカリムと、丁寧な所作でありながらパクパク口に放り込むジャミルを横目で見つつ、Aも熱砂の国の料理を口に運んだ。
スパイスの効いているカレーをナンにつけ、もぐもぐと咀嚼すれば、スパイスの芳ばしい香りが喉から鼻へ抜けていく。
｢Aの国の料理は優しい味付けが多いのか。熱砂の国はスパイスが効いたものが多いから新鮮だな｣
｢縦に長い国ですので、味付けも使用食材も地域によって変化しますけれどね。私の出身地方は穏やかな味付けが好まれていまして……その影響があるやもありません｣
｢なぁ、A！ これは何だ？｣
｢それは竹輪の磯辺揚げです｣
ここまで良い食べっぷりを見せてくれるのならば、作った甲斐があるというものだ。
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ゆるり(プロフ) - ゆゆ。さん» 黒執事好きですよ！！ ハムレットが出てくるんですか……！？ 漫画の購入が途中で止まっていまして……笑 近々揃えてちゃんと読んでみます！ でも！ 黒執事は凄く好きです！！！ (2020年8月20日 1時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ。(プロフ) - 凄く面白いです！(前の作品にコメごめんなさい…)ハムレットって黒執事にも出てきますよね…！もしかして作者様黒執事好きだったりしますか…？私的にはハムレット出てきて嬉しかったです（笑） (2020年8月19日 16時) (レス) id: ead64206de (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - マツリカさん» こちらこそリクエストありがとうございました！私もクルーウェル先生大好きなので書いていて楽しかったです！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - クルーウェル先生のお話ありがとうございました！！一生の宝物にしますうううつ！！！！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - えむさん» こちらこそありがとうございました！ 勿論、リクエストは受け付けております〜！私でよければまたどうぞ！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月3日 19時
