後日談 ページ21
後ろから抱き締めてくるアズール、膝枕を堪能しているフロイド、にっこりと笑いながら指を絡めて手を繋いでくるジェイド。
解放する気が皆無な彼ら、まるで"前門の虎、後門の狼"のような状況である。
｢僕もAさんと同じチームが良かったのにぃ……｣
｢そのようなことを言われましてもねぇ。文句はクロウリー殿に言ってもらわないと｣
｢Aちゃんと一緒だったらマジメにやったのに！！ 何でジェイドとばっかいたの！？｣
｢貴方が勝手にやる気をなくして、ジャックさん達に捕まったというのに……何故、私が責められているのでしょうか｣
違うチームだというだけで辛かったのに、といって甘えてくるアズールと、一緒に行動したかったのに何処に居たんだと責めながら甘えてくるフロイドを宥めつつ、Aは横でのほほんと微笑んでいるジェイドに視線を送った。
何を自分だけ幸せそうに手を繋いでいるんだ、早々に彼らを引き剥がしてはくれまいか、という意味を込めていたのだが気付いていないようである。
｢おやおや、そんなに熱い視線を送られたら照れてしまいます｣
｢思ってもないことを、よくもまあ言うもので――うっ、ちょっと、苦し……｣
｢何でジェイド見てんの！？ オレのことだけ見てればいいじゃん！｣
｢ジェイドでもフロイドでもなく僕を見てくださいよぉ……！！｣
鳩尾ら辺に回るアズールの腕に力が込められ、フロイドが腹にぐりぐりと頭を押し付けられた為に凄まじい圧迫感だ。
体を捻って抜け出そうとするものの、ジェイドもアズールも拘束の手を緩めるつもりはないらしい。
彼女が体の力を抜き、深い溜息を吐き出したことで脱出を諦めたのだと理解した三人はこっそりと口角を上げた。
｢来年は一緒のチームになりましょうね？｣
｢一年後にまだ此処にいるかなんて分かりませんし、組み分けについてはクロウリー殿に仰って下さい。私ではどうにも出来ません｣
｢は？ Aちゃんはずっとココにいるよねぇ？｣
｢ですから――｣
｢いるよね？ ね？｣
話を聞く気なんて無いようだ。
瞳孔をかっ開いたフロイドに脅されても頷かないのは流石といったところだが、今その選択をするのは半分間違いである。
｢ね、Aさん｣
｢頷くだけで良いんですよ？｣
顎に両手を添えられたと思えば、唇同士が触れるギリギリでアズールに名を呼ばれ、ジェイドが耳元でこう囁いてきたのだから。
先程まで駄々を捏ねていた彼らの変わり様に、Aは頭を抱えたくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1885人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆるり(プロフ) - ゆゆ。さん» 黒執事好きですよ！！ ハムレットが出てくるんですか……！？ 漫画の購入が途中で止まっていまして……笑 近々揃えてちゃんと読んでみます！ でも！ 黒執事は凄く好きです！！！ (2020年8月20日 1時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ。(プロフ) - 凄く面白いです！(前の作品にコメごめんなさい…)ハムレットって黒執事にも出てきますよね…！もしかして作者様黒執事好きだったりしますか…？私的にはハムレット出てきて嬉しかったです（笑） (2020年8月19日 16時) (レス) id: ead64206de (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - マツリカさん» こちらこそリクエストありがとうございました！私もクルーウェル先生大好きなので書いていて楽しかったです！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - クルーウェル先生のお話ありがとうございました！！一生の宝物にしますうううつ！！！！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - えむさん» こちらこそありがとうございました！ 勿論、リクエストは受け付けております〜！私でよければまたどうぞ！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月3日 19時
