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｢A、お前はどうしたら寝れる？｣
マレウスの翡翠の瞳と、Aの深みが異なる碧眼が見つめ合って沈黙を作り出した。
顔が上向きで固定されている為に逃げることは不可能であるし、何よりリリア達三人の視線がびしびしと体に刺さってきている。
もうここまでヤケである、言い逃れも何も出来ないのだから貴重な睡眠時間を確保しておけば後々楽になるだろう。
｢誰かの……心音を聞くこと、です｣
｢誰かの？｣
｢心音を聞くこと、じゃと？｣
睡眠薬を求めるのではなく、花やアロマなどの良い香りを求めるのでもなく、はたまた抱き枕や静かな環境を求めるのでなく。
Aが求めたのは"誰かの心音"、つまりは共寝をする必要があるということ。
これにはリリアとマレウスもきょとんとし、シルバーはパチパチと瞬きを繰り返し、セベクは顔を真っ赤にして硬直した。
｢そうか、ならば僕の心音を聞けば良い｣
そして、この時のマレウスの行動は早かった。
抱き締めていたAのことを持ち上げ、横抱きして自分のベッドへと歩き寄り、丁寧に彼女の体をベッドの上に横たえたのである。
そのまま彼は隣に寝転がると、ふわふわで手触りの良い毛布と布団を一緒くたに被せた。
ぎゅうっと抱き寄せられて、Aの耳にはマレウスの心音だけが聞こえてくる。
セベクがオーバーヒートを起こして倒れた音も、シルバーとリリアの海和も、何もかもが遠くなって聞こえなくなっていった。
まるで、水の中にいる時に陸から話しかけられている様な聞こえ方。
とくん、とくんっ。
彼の心音が、彼が生きていて此処に存在していることを証明してくれている。
Aにとって、ただ"それ"だけが唯一効果のある睡眠薬であった。
＊＊＊
たったの八秒。
Aとマレウスがベッドに入って、寝転がってから彼女が眠りに落ちるまでの時間である。
これには流石にマレウスも驚きを露わにしていたし、リリアもきょとんと首を傾げていた。
不眠症だというならば、眠りにつくまでにもかなりの時間が必要だと勝手に想像していたのに。
｢まるでシルバーのようじゃの｣
｢む、俺はそこまで早く寝れません｣
｢よく言うものじゃ……さて、髪を元に戻そうかの｣
｢戻してしまうのか？｣
｢起きた時に痛みがあるといけないじゃろう｣
リリアの細い指がAの髪に触れ、ヘアゴムやヘアピンを素早く解いて抜いていく。
あっという間に髪型は元通りとなり、真っ白なシーツにAの美しい紫色の髪が広がった。
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ゆるり(プロフ) - ミニ林檎さん» お褒めの言葉、ありがとうございます！承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 23時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ミニ林檎 - 素敵な、ストーリーですね。リクエストしたいのですが閣僚の皆んなから追いかけられる話が見たいです。 (2020年4月23日 20時) (レス) id: a0bbb5bb79 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - ＊＊さん» こちらこそ、素敵なリクエストありがとうございました！楽しく書かせて頂きました〜！ (2020年4月23日 13時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - ポムフィオーレのみなさんの美を追求する姿勢は夢主ちゃんにとっても居心地がいいものなのかなあと、ほっこりしました…！想像するだけで幸せになれる素敵なひとときをありがとうございました (2020年4月23日 11時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 月兎さん» わ〜！！そんなことを言って貰えて光栄です！リクエスト承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 0時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月17日 0時
