3 ページ47
さて、何故マレウス達がこのような行動をとったのかについて簡単に説明しておこう。
理由としては簡単で、アズールのオーバーブロットを元に戻す対価としてストレスが蓄積されていたAのことを、レオナとラギーが大食堂で盛大に甘やかしていたのを覚えているだろうか。
この光景を偶々見ていたリリアがマレウスに伝えたところ、彼は自分もAのことを甘やかしたい、触れ合いたいという思いを抱いたらしい。
｢A、口を開けよ｣
｢……何故、チーズケーキの刺してあるフォークを構えているのかをご説明頂いてもよろしいでしょうか｣
｢数日前、キングスカラーがお前に菓子を食わせていただろう？ あれを僕もやりたい｣
それこそ何故だ。
誰か他人がしていたことを、リリアやセベクではなく己にしてみようと思い付いたところが理解出来ず、Aはほんの少しだけ眉を顰める。
若様信者のセベクにしてあげれば泣いて喜ぶであろうに。
じぃっと睨み合いをしていた二人だが、マレウスに全く引く気がないことを悟ったAが渋々折れ、小さな口をかぱりと開けた。
途端に彼は瞳を輝かせ、嬉しそうに微笑みを浮かべながらAの口元にフォークをを運ぶ。
｢んむ｣
｢……美味いか？｣
こくこくと無言で頷いたAを見て、マレウスは更に笑顔を深めた。
＊＊＊
あれから約二十分間、ひたすらAにケーキやプリンなどを食べさせて満足したのか、マレウスは彼女のことを後ろから抱き締めている。
身長差もあり体格も随分と違う彼が態々顎を頭に置き、凭れ掛ってくるのだからAからすれば堪らない。
そして、何故だかリリアには髪を勝手に弄られていた。
｢それで、リリアさんは何をしていらっしゃるのでしょうか｣
｢ん？ あぁ、Aの髪をアレンジしてみているのじゃよ。こんなにも綺麗な紫色の髪をしておるのじゃから、活かさなければ損じゃろう？｣
｢……はぁ｣
｢親父殿の言う通り、Aさんの髪はとてもお綺麗ですね。それにとても良い香りがします｣
｢お、シルバーが誰かを褒めるとは珍しいこともあるものじゃなぁ。もしやAに惚れたか？｣
｢惚れ……？｣
｢これまた有り得ないことを仰りますね、リリアさんも｣
シルバーがきょとんと首を傾げ、Aが溜息を吐き出したことでリリアはむすりと頬を膨らませる。
｢何じゃ、面白みのない｣
｢｢面白くなくて結構です｣｣
二人の言葉が揃い、今度はマレウスが抱き締める力を強めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1581人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆるり(プロフ) - ミニ林檎さん» お褒めの言葉、ありがとうございます！承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 23時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ミニ林檎 - 素敵な、ストーリーですね。リクエストしたいのですが閣僚の皆んなから追いかけられる話が見たいです。 (2020年4月23日 20時) (レス) id: a0bbb5bb79 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - ＊＊さん» こちらこそ、素敵なリクエストありがとうございました！楽しく書かせて頂きました〜！ (2020年4月23日 13時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - ポムフィオーレのみなさんの美を追求する姿勢は夢主ちゃんにとっても居心地がいいものなのかなあと、ほっこりしました…！想像するだけで幸せになれる素敵なひとときをありがとうございました (2020年4月23日 11時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 月兎さん» わ〜！！そんなことを言って貰えて光栄です！リクエスト承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 0時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月17日 0時
