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Azul side
イソギンチャク達を解放して欲しいだなんて、随分とお人好しな人間がいたものですね。
知り合いが何人かいるようですけれど、僕のテスト対策ノートの噂に釣られてノコノコやってくるような奴らだというのに。
隣のAさんの表情が見えないんでしょうか……すごく興味の無さそうなお顔ですよ。
｢取引すれば、どんな願いも叶えてくれると聞きました！｣
｢！？ おい、お前何考えてんだ！？｣
｢ほう？ 僕と取引したいと？｣
良い度胸をお持ちのようだ。
ですがユウさんは魔法の力をお持ちではない、ということはイソギンチャク達のように魔法を担保にすることが出来ない。
大量のイソギンチャク達の解放と、全くと言っていい程に割が合わないのですよ。
｢美しい声もなく、一国の跡継ぎというわけでもない。本当にごく普通の人間だ。それだけ大きなものを望むのでしたら、相応の担保が必要です｣
｢担保、だと？｣
｢例えば……ユウさんが管理しているオンボロ寮の使用権、とか｣
｢！！ テメェら、最初からそれが狙いで……！｣
実はモストロ・ラウンジの二号店を作ろうかと考えていましてね、オンボロ寮ならばぴったりの場所でしょう。
泡まみれになっている猫、つまりはグリムさんの同意も取れたことですし、ユウさんにとっては断る理由がなくなったわけで。
必死に考え込みながら、隣のジャックくんの反対を押し切った彼を見て思わず笑ってしまいました。
｢契約条件を、聞きたいです｣
｢この契約の達成条件は――『三日後の日没までに、珊瑚の海にあるアトランティカ記念博物館からとある写真を奪ってくること』！｣
写真といっても美術品ではありません。
十年前に撮影された、リエーレ王子の来館記念写真ですからね。
博物館の入口近くに飾ってある写真で、歴史的価値など一切ない本当にただの写真パネル……けど、僕にとったら消し去ってしまいたいものだ。
歴史関係の事柄に興味を持っているAさんがコレに関われば、僕の隠し事がバレてしまうかもしれない。
けれど、きっと彼女なら僕のことを受け入れてくれると思ってしまうんです。
それに、頭脳明晰で運動神経抜群なAさんがいた方が成功率が上がるでしょうから。
｢さて、ここでもう一つの契約条件を提示しましょう｣
｢オンボロ寮以外にも何かあるんですか！？｣
｢ええ……それはAさん、貴女です｣
間抜け面をしている二人を他所に、彼女だけが真意を測ろうと僕を見据えていました。
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みっきーうっきー - とても、面白い作品ですね。更新停止とかやめてくださいね！応援しているので、頑張って下さい！諦めないで下さい！ \`∀´/ (2020年4月14日 22時) (
レス) id: fbdfd6ec63 (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - 本編への組み込み方はもちろんのこと、描写のひとつひとつが美しくて読んでいてとっても楽しいです…！素敵な主人公ちゃんと出会わせてくれてありがとうございます。これからも楽しみにしています！ (2020年4月13日 13時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - たまらないほどに読み進めてます！！こういう主人公ちゃん大好きです！！！続きを楽しみに何度も読み返してます。応援してます！頑張ってください！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月12日 18時
